2026年7月23日付の「TBS NEWS DIG」が、
『オーナーや従業員がキャラクター商品を不正転売か 「重大な問題と捉えている」セブンーイレブンが全国の店舗に警告文書』
と題した見出し記事を報じていました。
そもそも論ですが、「転売行為」は、憲法第29条が保障する財産権(所有権の自由・処分権)や民法上の所有権に根ざす側面があるため、買ったものを自由に売ること自体は原則として正当(適法)とされています。
しかし、公共の福祉や他の法律による制限から、すべての転売が無制限に認められるわけではありません。
今回のセブンイレブンの加盟店に対する措置は、公共の福祉やセブンイレブンの社会的信頼性を守るために必要な措置であると思います。
ただ、キャラクターとのコラボ商品を企画開発し、店舗販売する上で、このような転売リスクは想定できたわけで、個人的には、この報道を知ったときに「今さら感」がありました。
以下に、この記事を引用し、セブンイレブンが、店舗関係者によるキャラクター商品の転売に関する警告文の効果とキャラクター商品の企画開発段階で、こうしたリスクに対する措置がなぜ取れなかったのか、マネジメントシステム面を含め、考察しました。
《記事の引用(筆者編集あり)》
大手コンビニチェーンのセブン‐イレブン・ジャパンが、人気アニメやゲームとのコラボ商品を巡り、一部の店舗オーナーや従業員による不正な買い占めや転売が確認されたとして、全国の加盟店へ警告文を出していたことが分かった。
通知では、販促物で告知した販売開始日時より前に商品を販売する行為や、店舗関係者による買い占め、転売、特定客への優先販売などが確認されたとして注意を呼び掛けている。
こうした行為は一般消費者の購入機会を奪うだけでなく、チェーン全体の信用を損なう重大な問題と位置付けられている。
セブン‐イレブン・ジャパンによると、SNSへの投稿や消費者からの問い合わせなどを通じて不適切な販売実態を把握したという。
中には悪質な事例もあり、フランチャイズ契約を解約した店舗もあったとしている。
近年、人気キャラクターとのコラボ商品や限定グッズは発売直後に高額転売されるケースが相次ぎ、販売現場では混乱が常態化している。
こうした商品は希少性が高く、市場価格を大きく上回る値段で取引されることも珍しくない。
そのため、本来は公正な販売を担う店舗関係者が利益目的で商品を確保すれば、企業ブランドへの信頼は大きく損なわれる。
同社は今回の問題を「店舗経営の継続にも影響しかねない重大な問題」として受け止め、店舗向けルールの整備や指導を強化する方針を示した。
今後は注意喚起だけでなく、販売方法や在庫管理、従業員教育などを含めた実効性ある再発防止策が求められる。
(記事の引用、ここまで)
《筆者の考察》
<転売は「想定外」ではない――セブンに問われるリスク設計とISO思考>
セブン‐イレブンが店舗関係者によるキャラクター商品の買い占め・転売を警告したことは、加盟店への抑止効果という点では一定の意義がある。
違反行為を明文化し、悪質な場合はフランチャイズ契約の解除もあり得ると示すことで、不正行為に対する心理的な抑止力は高まるだろう。
しかし、この警告は問題が発生した後の「是正措置」であり、本来は企画開発段階で予測し、未然に防止すべきリスクだったと言える。
近年、人気アニメやゲームとのコラボ商品は発売直後からフリマアプリやオークションサイトで高額転売されることが珍しくない。
これは社会現象として広く知られており、「限定」「数量限定」「人気キャラクター」という条件がそろえば転売目的の購入が発生することは十分予測できた。
それにもかかわらず、店舗関係者による買い占めという内部リスクまで十分に管理できなかった背景には、マネジメントシステム上の課題がある。
1)「外部リスク」は想定しても、「内部リスク」の分析が不十分だった
一般消費者による転売は想定していても、店舗オーナーや従業員という販売権限を持つ内部者が不正を行う可能性について、リスクアセスメントが十分ではなかった可能性がある。
2)商品企画部門、営業部門、加盟店支援部門、監査部門の連携不足
人気商品の企画段階で「発売日に店舗関係者が先に購入したらどうなるか」「大量購入を防ぐ仕組みは十分か」といった視点が組織横断的に検討されていれば、より実効性の高い対策を導入できた可能性がある。
例えば、発売開始までレジで販売登録ができないシステム、従業員購入を一定期間禁止するルール、高額転売が予想される商品の抽選販売や購入履歴管理、防犯カメラによる発売時刻の確認、AIを活用した異常販売の検知などは、企画段階から設計可能だった対策である。
ISO 9001の設計・開発の考え方では、「製品そのもの」だけでなく、「その製品がどのように利用され、どのようなリスクを生み出すか」まで考慮することが求められる。
また、ISO 31000(リスクマネジメント)の視点では、「起こってから対処する」のではなく、「起こり得る事象を予測し、予防策を講じる」ことが基本である。
今回の問題は、従業員個人のモラルだけでは説明できない。
利益を生みやすい環境を放置し、内部統制が十分に機能していなかった組織の責任も問われるべきである。
ISO思考では、不適合が発生した場合、「誰が悪いか」ではなく、「なぜその不適合を防げる仕組みになっていなかったのか」を分析する。
今回の警告文は再発防止の第一歩ではあるが、本当に必要なのは、不正を禁止することではなく、「不正ができない仕組み」を企画から販売、監査まで一貫して構築することである。それが、加盟店、消費者、そしてブランド価値を守る最も有効な対策と言える。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1021号より)
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