2026年7月17日付の「東京商工リサーチ」が、

『ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃 ~ 踏み切れない抜本再生、施主の権利保護も重要 ~』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、ハウスメーカーの倒産の背景と倒産による影響および対応策について、考察しました。

 

《記事の要約》

資材価格の高騰や人手不足、住宅需要の低迷を背景に、ハウスメーカーの倒産が急増している。

東京商工リサーチによると、2026年上半期に発生した木造建築工事業者の倒産は118件で、前年同期比87.3%増となった。

上半期として100件を超えたのは2013年以来、13年ぶり。

原因別では販売不振が85件、赤字累積などの既往のしわ寄せが20件で、業績不振が大半を占めた。

 

住宅業界では、木材や住宅設備、エネルギー、外注費などが上昇する一方、職人不足による人件費も増えている。

しかし、所得の伸び悩みや住宅ローン金利の上昇で、販売価格への転嫁には限界がある。

建売住宅では、用地取得や事業計画の段階から販売までに時間がかかり、その間のコスト上昇で採算が崩れるケースも少なくない。

 

さらに、新築住宅市場そのものが縮小している。

2025年度の新設住宅着工戸数は約71万戸にとどまり、前年度比12.9%減となった。

住宅価格の高騰を受け、消費者が中古住宅やリノベーション、賃貸住宅へ移る動きも強まっている。

 

中堅企業の破綻も相次いでいるが、多くは倒産直前に急激に悪化したのではなく、以前から低収益や赤字、債務超過を抱えていた。

原価管理や資金繰りの見直し、事業規模の縮小など、早期の抜本改革に踏み切れなかったことが傷口を広げたとみられる。

 

住宅会社が倒産すれば、工事の中断や引き渡しの遅れ、前払い金の損失が発生し、施主や下請け業者に影響が及ぶ。

今後は企業の再生判断を早めるとともに、住宅完成保証制度などを活用し、施主を守る仕組みを契約段階から整えることが求められる。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<家が建たない――ハウスメーカー倒産が映す住宅産業の構造危機>

 

2026年上半期のハウスメーカー倒産が118件と前年同期から約9割増えた背景には、「売れない」「高くなる」「造れない」という三重苦がある。

資材、住宅設備、燃料、外注費は高止まりし、職人不足で労務費も上昇している。一方、住宅ローン金利や物価の上昇で購入者の負担能力は弱まり、建築費の増加分を販売価格へ完全には転嫁できない。

東京商工リサーチの集計でも、倒産原因の72%を販売不振が占めた。

 

より根深い問題は、新築住宅市場の縮小である。

2025年度の新設住宅着工戸数は約71万戸と前年度から12.9%減少した。

長期的にも人口・世帯数の減少や住宅価格の上昇により、新築需要は縮小し、中古住宅や賃貸、リノベーションへの移行が進むと予測されている。

大手は大量仕入れ、ブランド力、金融支援、施工の標準化で耐えられるが、地方の中堅・中小企業は価格競争と原価高の間で利益を失いやすい。

 

倒産の影響を最も深刻に受けるのは施主である。

建築途中で会社が破綻すれば、工事は止まり、既に支払った契約金や中間金が戻らないこともある。

別会社に工事を引き継げても、資材の再調達や現場確認で追加費用が発生する。

下請け業者も未払い代金を抱え、地域の職人や資材会社へ連鎖的に被害が広がる。

 

購入者は、知名度や坪単価だけで会社を選んではならない。

過度な前払いを避け、工事の進捗に応じた分割払いとし、決算公告、施工実績、協力会社への支払い状況を確認することが重要だ。

住宅完成保証制度では、登録事業者が倒産した場合、前払い金の損失や追加工事費の一定部分が保証され、引き継ぎ業者の紹介も受けられる。

ただし、対象や補償上限があるため、契約前に適用条件を確かめる必要がある。

 

企業側には、受注棟数を追う経営から、棟別採算と資金繰りを重視する経営への転換が求められる。

長期固定価格契約の見直し、資材価格の変動条項、着工前の原価再確認、協力会社への適正な支払い、人材育成が不可欠だ。新築だけに依存せず、断熱改修、耐震改修、空き家再生、維持管理へ事業を広げることも有効である。

 

ISO思考でいえば、売上高だけを見るのではなく、資材高、人手不足、金利、需要減少を相互に関連するリスクとして把握し、早期に対策を打つ必要がある。

倒産直前まで受注を続けるのではなく、施主と取引先を守るために再生や事業縮小を決断することも、経営者の責任である。
 

 

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