2026年7月17日付の「PRESIDENTオンライン」が、
『「青春18きっぷ離れ」が止まらない…2年で販売数「62万→24万枚」に激減させたJRが選んだ"最悪の選択肢"』
と題した見出し記事を報じていました。
私自身は、社会人になってからは、数回しか利用したことがないですが、学生時代は、何回も利用したきっぷです。
今の時代より、JRの普通列車網が数多く張り巡らされ、普通列車を乗り継いで、東京から青森まで、1日で行けるのは、魅力的で、友人たちと5枚綴りのきっぷを分割して利用しました。
しかし、現在の利用規定では、「連続する5日(又は3日)」となっているようで、分割して使用できないようです。
以下に、この記事を要約し、青春18きっぷの販売数激減の理由や「鉄道ファンの育成」という観点でのJRの今後の事業予測について、考察しました。
《記事の要約》
JR全線の普通・快速列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」の販売数が急減している。
JR九州への取材によると、2023年度に約62万枚だった販売数は、2024年度に約42万枚、2025年度には約24万枚まで落ち込んだ。
コロナ禍の2020年度をも下回る水準で、利用条件の変更による顧客離れが鮮明になった。
2026年夏季分は、3日間用が1万円、5日間用が1万2050円。
7月18日から9月8日まで利用できる。
全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席などに乗車でき、自動改札機にも対応している。
大きな転機となったのは、2024年冬季分からの制度変更だ。
従来は有効期間内の好きな5日間を選び、1枚を家族や友人と分けて使うこともできた。
現在は、1人1枚を購入し、連続する3日間または5日間で使わなければならない。
自動改札への対応で利便性が高まった半面、週末ごとの日帰り旅行や、家族での共同利用ができなくなった。
利用者からは「連続した休みを取りにくい」「宿泊費まで考えると割安感がない」との不満が出ている。
普通列車の夜行列車がほぼ姿を消し、ホテル代も上昇する中、安く自由に旅するという商品の魅力が薄れたためだ。
一方、青春18きっぷを使った鉄道旅行への関心そのものは根強い。
問題は、鉄道旅の人気がなくなったのではなく、商品の条件が利用者の生活や旅のスタイルに合わなくなった点にある。
販売減少を理由に廃止へ向かうのか、それとも制度を再設計するのか。JR各社の判断が注目される。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<青春18きっぷが失った「自由」――目先の省力化と未来の鉄道ファン>
青春18きっぷの販売数が、2023年度の約62万枚から2025年度の約24万枚へ激減した最大の理由は、価格よりも利用の自由度を失ったことにある。
従来は期間内の任意の5日間を選び、1枚を複数人で使えた。
学生が週末ごとに日帰り旅行をしたり、家族で一日分ずつ使ったり、余った回数を別の日に活用したりできた。
それが現在は、1人で連続3日間または5日間使う仕組みである。
自動改札を通れる利点はあるが、商品の核心だった「自由な旅程」と「共同利用」が消えた。
現代の会社員や学生が3日、5日と連続して休めるとは限らない。
さらに夜行普通列車がほぼなくなり、ホテル代も高騰している。3日間用は1日当たり約3333円で、2泊分の宿泊費まで加えれば、格安航空券、高速バス、レンタカーの方が便利になる場合もある。
販売減少は、鉄道旅行への関心低下というより、利用者の現実と商品設計が合わなくなった結果だろう。
青春18きっぷには、単なる割引商品を超えた意味があった。
若者がローカル線に乗り、途中下車し、地方の町や駅弁に触れる「鉄道旅行の入門券」だったからだ。
学生時代に鉄道の楽しさを知った人が、社会人になって新幹線や特急を利用し、将来は家族旅行でも鉄道を選ぶ。
短期的な売上だけでは測れない、将来の顧客を育てる商品だった。
JR各社は今後、全国共通商品よりも、各社のネット予約や地域限定フリーパスを重視すると予想される。
販売管理がしやすく、自社線内に旅行需要を囲い込めるためだ。
しかし、各地域のきっぷだけでは、日本を鉄道で横断する夢や、会社境界を意識せず旅する魅力は弱まる。
必要なのは旧制度への単純回帰だけではない。
QRコードやアプリを用い、任意の日に使える回数券方式を復活させる、1日券や2日券を設ける、若者・家族向けのデジタル商品を用意するなど、駅員の負担を減らしながら自由度を守る方法はある。
利用データを分析し、学生、日帰り客、長距離旅行者ごとに商品を分けてもよい。
鉄道ファンは自然に生まれるものではない。
乗ってみたいと思わせる入口があってこそ育つ。
青春18きっぷを廃止へ導けば、失うのは24万枚分の売上だけではなく、数十年後まで鉄道を選んでくれる顧客かもしれない。
ISO思考でいえば、改札業務の効率化という部分最適ではなく、将来の利用者育成まで含めた全体最適で制度を見直すべきである。
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