<船舶の製造業における環境パフォーマンスとは>
船舶の製造業における環境パフォーマンスとは、船体構造物の加工、ブロック組立、溶接、塗装、艤装、試運転などの一連の製造活動および完成船の運航に関わる環境影響を把握し、その低減成果を定量的に示すものである。
ISO14001の観点では、環境側面を特定し、重要な環境影響に対して目的及び目標を設定し、達成状況を測定して継続的に改善することが求められる。
本業種は、大規模構造物を扱うためエネルギー消費量が大きく、塗装や溶接に伴う排出物、さらに完成船の運航に伴う温室効果ガス排出への影響が大きい点が特徴である。
したがって、製造工程と製品性能の両面から環境パフォーマンスを評価する必要がある。
《環境パフォーマンスの具体例》
1)製造工程におけるエネルギー使用量及び温室効果ガス排出量の削減
大型クレーン、溶接機、切断設備などの電力使用量を低減し、単位建造量当たりのエネルギー原単位を改善することが指標となる。
2)塗装工程における揮発性有機化合物排出の削減
防食塗装は大量の塗料と溶剤を使用するため、その排出抑制が重要である。
3)材料使用効率の向上
鋼板の切断時に発生する端材の削減や再資源化率の向上が挙げられる。
4)廃棄物及び有害物質管理
溶接ヒューム、廃塗料、廃油、研削粉などの発生量削減と適正処理が重要である。
5)製品性能による環境影響低減
燃費性能の高い船体設計や低排出エンジンの採用により、運航時の環境負荷を低減することが重要な環境パフォーマンスとなる。
6)騒音や粉じんの低減
騒音や粉塵の提言など地域環境への配慮として重要である。
《環境パフォーマンスの取組み方》
1)エネルギー管理
高効率機器の導入、作業工程の最適化、エネルギー使用量の見える化、再生可能エネルギーの活用を進める。
エネルギー原単位を定期的に評価し、改善目標を設定することが重要である。
2)塗装工程
水性塗料や低溶剤塗料の採用、塗装効率の改善、局所排気装置や排気処理設備の導入により排出削減を図る。
3)材料管理
設計段階での部材配置最適化、切断計画の高度化、端材の分別回収と再資源化を徹底する。
4)廃棄物管理
発生源対策、不良削減、分別の徹底、リサイクルルートの確立を行う。
危険物については保管及び処理の管理を強化する。
5)製品性能向上
船体の流体抵抗低減設計、軽量化、高効率推進装置の採用、代替燃料対応設計などを進める。これにより運航時の燃料消費及び排出削減に貢献する。
6)騒音及び粉じん対策
防音壁の設置や作業方法の改善を行う。
<結論>
船舶の製造業における環境パフォーマンスは、製造工程におけるエネルギー、資源、化学物質管理と、完成船の運航における環境負荷低減という二つの側面で評価される。
ISO14001の枠組みに基づき、定量的指標を設定し、設計から製造まで一体的に改善を進めることで、環境負荷低減と技術競争力の向上を同時に実現できる。
環境パフォーマンスの向上は、海運分野の脱炭素化と持続可能な社会の実現に不可欠な経営課題である。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1007号より)
【好評発売中!】
『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版
『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001