2026年6月1日付で読売新聞が、
『外国人のマンション取得、規制は当面見送り…政府は実態把握進め有効な対策検討する構え』
と題した見出し記事を報じていました。
個人的には投資目的で都内など都市部のマンションを買いあさる外国人のマンション取得規制が見送られたのは、やや残念です。
また、外国人が所有者の場合、固定資産税が、確実に徴収できていないという問題もあるそうなので、マンションを売り買いする際に、例えば、仲介業者に固定資産税の滞納状況をチェックさせる不動産ルールの整備も急務だと思います。
以下に、この記事を要約し、外国人のマンション取得規制が見送られた背景と政府が実施すべき有効な対策について、考察しました。
《記事の要約》
政府は、外国人による不動産取得問題を巡り、安全保障上重要な土地の規制強化を進める一方で、外国人に限定したマンションなどの不動産取得規制は当面見送る方針を固めた。
2026年秋の臨時国会に、重要土地等調査・規制法の改正案を提出する方向で検討している。
現在の同法は、自衛隊基地や原子力関連施設など安全保障上重要な施設の周辺約1キロ圏内を対象とし、特に重要な区域では土地取引の届け出を義務付けている。
政府は今回の改正で、届け出制をさらに強化し、許可制の導入や調査権限の拡大を検討している。
一方、外国人による不動産取得規制については、日本人名義の代理購入などによる「抜け穴」が存在し、実効性を確保することが難しいと判断した。
また、日本が国際的に掲げる「内外無差別」の原則との整合性も課題となった。
このため、国籍による規制ではなく、安全保障上の重要区域においては日本人・外国人を問わず同じルールを適用する方針だ。
ただし、都市部では外国人を含む投資目的の不動産購入が増え、マンション価格の高騰や管理組合運営への影響を懸念する声も強い。
与党内には価格抑制策を求める意見もあり、政府は外国人による取得実態の把握を進めながら、今後の対応策を検討する考えだ。
不動産市場の国際化が進む中、安全保障、住宅価格、地域コミュニティの維持をどう両立させるかが、新たな政策課題となっている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<外国人のマンション取得規制が見送られた背景と政府に求められる現実的な対策>
近年、東京や大阪などの大都市圏ではマンション価格の高騰が続き、「外国人投資家による購入が価格上昇の一因ではないか」という議論が活発になっている。
しかし政府は今回、外国人だけを対象としたマンション取得規制を見送る方針を示した。
その最大の理由は、実効性の確保が難しいためである。
仮に外国人名義の購入を禁止しても、日本人の親族や知人、法人名義を利用した購入は可能であり、規制逃れが容易に発生する。
記事でも指摘されているように、日本人代理人を経由すれば規制を回避できる可能性が高い。
また、日本は自由貿易や外国投資を重視する国であり、国籍のみを理由に不動産取得を制限すると、国際的な投資協定や「内外無差別」の原則との整合性が問題になる。
欧米諸国でも外国人規制は存在するが、多くは税制や居住要件を活用した間接的な手法で行われている。
しかし、規制を見送ったからといって問題が解決したわけではない。
特に都市部では住宅が「居住のための資産」ではなく、「投資商品」と化していることが本質的な課題である。
政府が取るべき対策には、以下がある。
1)実態把握の強化
不動産取得者の国籍、居住実態、投資目的か居住目的かを正確に把握できるデータベースを整備する必要がある。
2)居住実態のない物件への課税強化
英国やカナダ、シンガポールなどでは、外国人購入者や空き家所有者に追加課税を行い、投機需要の抑制を図っている。
日本でも国籍ではなく、「居住実態がない物件」や「短期転売目的の取引」に重点を置いた税制を検討すべきだろう。
3)マンション管理の適正化
管理費や修繕積立金の滞納、管理組合総会への不参加は現実の問題となっている。
所有者が海外在住の場合には国内管理人の選任を義務付けるなど、管理責任を明確化する制度整備が求められる。
4)固定資産税の徴収強化
海外居住者からの徴税が難しいケースも指摘されている。
不動産売買時に滞納状況を確認する仕組みや、管理会社・仲介業者との情報連携も検討課題となる。
重要なのは、「外国人排除」ではなく、「日本で生活する人が住宅を取得しやすい環境を守ること」である。
価格高騰の原因は外国人投資だけではなく、低金利政策、建築費高騰、供給不足など複数の要因が絡んでいる。
政府には感情論ではなく、データに基づいた住宅政策と不動産市場の透明化を進めてもらいたい。
真に守るべきは国籍ではなく、国民の生活基盤と住宅市場の健全性なのである。
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