2026年5月30日付のYahoo!ニュースで、井出留美氏が、
『年間2兆4,489億円の税負担 ごみは30%減なのになぜ処理費は増え続けるのか』
と題した見見出しの記事を寄稿していました。
以下に、この記事を要約し、ごみが減っても処理費が増える理由と各自治体に必要な対策について降圧しました。
《記事の要約》
日本のごみ総排出量は、2000年度の約5483万トンをピークに減少を続け、2024年度には約3811万トンとなった。
約3割減った計算で、分別や食品ロス削減、3Rの取り組みが一定の成果を上げている。
しかし、ごみ処理費は逆に増えている。
2024年度の一般廃棄物処理事業経費は約2兆4489億円に達し、前年度より6.9%増加した。
つまり、ごみの量が減っても、処理にかかる費用は下がっていない。
主な理由は、焼却施設の老朽化と更新費用である。
高度成長期以降に整備された焼却炉は更新時期を迎え、建て替えには数十億円から数百億円、場合によっては1000億円規模の費用がかかる。
また、人件費、燃料費、資材費の高騰、円安、熟練技術者の不足も維持管理費を押し上げている。
さらに、中国が廃プラスチックの輸入を規制したことで、国内処理の負担も増えた。
プラスチックは焼却炉への負荷が大きく、生ごみは水分が多いため燃焼効率を下げる。
ごみの総量だけでなく、ごみの中身が処理費を左右している。
特に注目すべきは生ごみと食品ロスだ。
家庭ごみの大きな割合を占める生ごみは、重さの多くが水分で、収集や焼却のコストを高める。
食品ロスを減らし、生ごみを水切り・乾燥・堆肥化することは、環境対策だけでなく自治体財政の負担軽減にもつながる。
ごみ問題は「量を減らす」段階から、「質を変える」段階へ入っている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<ごみが減っても処理費が増える理由>
ごみ総量が減っているのに処理費が増える理由は、処理費の多くが「ごみの量」に比例する変動費ではなく、施設・人員・制度を維持する固定費だからである。
環境省の令和5年度調査では、ごみ総排出量は3897万トン、1人1日当たり851グラムまで減っているが、施設更新や維持管理の負担は簡単には減らない。
令和6年度は排出量が3811万トンまで減る一方、処理事業経費は約2兆4489億円に増えたとされる。
以下が、“ごみが減ったのに処理費が増える主な要因”である。
1)焼却施設の老朽化
ごみ焼却施設は一度建てれば終わりではなく、排ガス対策、耐震化、延命化、建て替えが必要になる。
近年は建設資材費や人件費も上昇しており、施設更新費が自治体財政を直撃している。
2)人件費と運搬費の上昇
収集車の運転手や清掃作業員、施設運転員の確保は難しくなっており、物流の2024年問題も収集・運搬コストを押し上げている。
ごみが少し減っても、収集ルートや施設運転をすぐに減らせるわけではない。
3)分別回収とリサイクルのコスト
リサイクルは環境価値がある一方、回収、選別、洗浄、保管、再資源化に費用がかかる。
特に廃プラスチックは、中国の輸入規制以降、国内処理の負担が増した。
資源化すれば必ず安くなるわけではなく、品目ごとの費用対効果を見極める必要がある。
4)ごみの「質」の問題
生ごみは水分が多く、収集時は重く、焼却時には炉内温度を下げる。
食品ロスや水分の多いごみを減らすことは、処理費削減に直結しやすい。
消費者庁なども食品ロス削減を重要課題として位置づけており、家庭系・事業系の双方で対策が必要である。
<自治体に必要な対策>
1)施設更新の広域化
小規模自治体が単独で高額な焼却炉を持つ時代ではない。
近隣自治体と共同処理し、施設数を最適化すべきだ。
2)生ごみ削減策の強化
水切り徹底、生ごみ処理機補助、コンポスト普及、食品ロス削減アプリやフードバンク連携を進める必要がある。
3)リサイクルの棚卸し
環境効果より費用負担が大きい分別については見直し、アルミ缶や古紙など経済性の高い資源化に重点を置くべきだ。
4)住民への見える化
1人当たり処理費、焼却炉更新費、生ごみ比率を公表すれば、住民の協力も得やすい。
ごみ処理は行政サービスであると同時に、地域のインフラ経営である。
今後は「たくさん集めて燃やす」仕組みから、「発生させない、燃やさない、施設を持ちすぎない」仕組みへ転換することが求められる。
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