2026年4月29日付で、「PRESIDENTonline」が、
『年収3000万円のブロッコリー農家を生み出した…農業を「ドル箱」に変えた九州の野菜卸業者のすごいアイデア』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、ブロッコリー農家の成功のポイントとブロッコリー以外で同じような農家を生み出す出す可能性と方法について、考察しました。
《記事の要約》
2026年4月から「指定野菜」に加わったブロッコリー。その生産拡大を支えてきたのが、長崎県雲仙市の野菜卸業者・國﨑青果である。
同社は1996年設立、2025年には年商88億円を記録。年間約250万ケース、約2万トンのブロッコリーを扱い、長崎、熊本、北海道など全国に産地ネットワークを広げている。
同社の強みは、単なる流通網ではない。
農家にとって最も負担が大きい収穫作業を、自社の部隊で引き受ける仕組みにある。
ブロッコリーは収穫適期の見極めが難しく、畑に何度も入り、一つずつ包丁で切り出す必要がある。
従来は夜中から収穫し、選別、箱詰め、出荷まで農家が担っていたため、作付面積を広げにくかった。
そこで國﨑青果は、畑のブロッコリーを丸ごと買い取る「単買い」と、約300人規模の収穫・選別・箱詰め支援体制を整えた。
農家は栽培管理に集中し、人手のかかる作業は同社が代行する。
これにより、一人では2ヘクタール程度が限界だった作付面積を、10ヘクタール規模まで広げられる農家も出てきたという。
同社によれば、10アールあたり約4000本を植え、手取りが1個80円なら売上は28万~30万円程度。
10ヘクタールなら単純計算で2800万~3000万円規模になる。もちろん資材費や機械投資などを差し引く必要はあるが、農家の所得向上につながる可能性は大きい。
この仕組みは高齢農家にも効果がある。
体力的に厳しい収穫を任せられるため、75歳でも栽培を続けられる例がある。
また、夏場には従業員が北海道へ移動し、現地農家の収穫を支える。
さらに同社は自社農場も設立し、雇用維持や耕作放棄地の防止にも取り組む。
一方で、物流の2024年問題、資材高騰、気候変動による旬のずれなど課題も多い。
同社は発泡スチロールに代わる鮮度保持輸送や、冷涼産地の開拓、物流拠点の再編を進めている。
指定野菜化による国の支援も追い風となり、ブロッコリーは「儲かる農業」の象徴となりつつある。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<ブロッコリー農家の成功ポイントとリスク、他作物への展開>
ブロッコリー農家が成功した最大のポイントは、「農家がすべてを抱え込まない仕組み」を作ったことにある。
従来の農業は、栽培、収穫、選別、箱詰め、出荷、販売までを農家が担うことが多く、規模拡大の壁になっていた。
國﨑青果のモデルは、このうち最も重労働で時間制約の厳しい収穫・出荷部分を外部化し、農家を「作る専門家」に戻した点が画期的である。
成功の第二の要因は、価格保証と販路の安定だ。
農家にとって最大の不安は、豊作時の価格暴落である。
最低手取り価格を設定し、相場が悪い時も一定額で買い支える仕組みがあれば、農家は安心して面積を広げられる。
さらに、國﨑青果は大量供給力を持つことでスーパーなどとの交渉力を高め、農家と流通業者の双方に利益を生む構造を作った。
第三に、物流と産地分散である。
九州、関東、北海道など複数産地をつなぎ、季節ごとに収穫部隊を動かすことで、通年供給に近い体制を築いている。
これは気候変動への対応策でもあり、単一産地に依存しないリスク分散になっている。
ただし、リスクも大きい。
「年収3000万円」と言っても、実際には売上規模に近く、農機具、肥料、農薬、資材、人件費を差し引けば手取りは大きく減る。
また、仲卸業は薄利多売であり、生鮮品は在庫が効かない。
相場下落、輸送トラブル、天候不順、病害、燃料高騰が重なれば、資金繰りが一気に悪化する可能性がある。
さらに、多数の外国人スタッフに支えられる労務管理や安全管理も重要な課題である。
同じような成功モデルは、ブロッコリー以外でも可能だ。
対象になり得るのは、収穫適期が短く、人手不足が制約になっている作物である。
例えば、キャベツ、レタス、アスパラガス、いちご、枝豆、とうもろこし、花きなどが候補になる。
ただし、共通条件がある。
1)一定の市場需要があること
2)鮮度保持と物流の仕組みが作れること
3)収穫部隊を組織化できること
4)価格保証や契約栽培で農家の不安を減らせること
である。
今後の農業は、個々の農家の努力だけでは限界がある。
生産、労働力、物流、販売、価格保証を一体化した「農業のマネジメントシステム」を作れるかが成否を分ける。
ブロッコリーの成功は、農業を家業から産業へ転換する一つのモデルを示している。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1009号より)
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