2026年5月5日付の共同通信社が、

『子のスポーツ、物価高で困難に 「体験格差」広がる恐れ』

と題した見出し記事を報じていました。

 

個人的には、幼少期の「体験格差」が、子どもの情操教育に大きく影響を与えるという考えに、懐疑的です。

時代が違うのかもしれませんが、私は、飛行機に初めて乗ったのは、初の海外旅行の22歳でしたし、東京タワーに上ったのは29歳、ディズニーランドは、31歳でした。

親は、習い事として、絵画、剣道、ピアノ、習字を就学前~中学生時代に、自分の意志とは別に経験させてくれましたが、基本的に、誕生日のプレゼントを含め「おねだり」をしたことがなかったので、幼少期から、なんとなく「大人になったら、自分でしてみればいいや」と考えていました。

 

そのようなわけで、結論から言えば、今となって振り返ると、体験の遅さが私の成長に大きく影響を与えたとは思えないのです。

確かに、「体験の差」は、学校など子どものコミュニティにおいて、肩身が狭い思いはするかもしれませんが、子どもの成長への影響は限定的な気がします。
 

以下に、この記事を引用し、一般論として、体験格差が子どもの成長にどのような影響があるのか、考察しました。

 

《記事の引用》※一部編集

物価高の影響が広がる中、子どもにスポーツを続けさせることが難しくなる家庭が増えている。

食費や教育費を優先せざるを得ず、「スポーツや習い事はぜいたく」と考え、子どもの希望を断念するケースも少なくない。

 

福岡市に住む45歳の女性は、小中高生の3人を育てている。高校で甲子園を目指す長男には、部費や遠征費、用具代などで年間10万円以上が必要だ。

中学生の長女もテニスに打ち込んでおり、家計への負担は重い。

そんな中、小学生の次男から「野球をやりたい」と言われたが、女性は「下の子にはスポーツをさせてあげられないかもしれない」と悩む。

 

こうした相談は、困窮世帯を支援する認定NPO法人「キッズドア」にも数多く寄せられている。

同団体は、食事や学習支援に比べ、スポーツや文化活動は「ぜいたく」と見られやすく、保護者が相談しづらい事情があると指摘する。

 

現在、費用補助や用具提供などの支援活動も行われているが、支援を必要とする家庭は多く、十分に追いついていないという。

さらに、中学校の部活動地域移行が進めば、今後はクラブチーム化による費用増加も懸念されている。

 

スポーツや文化活動は、単なる娯楽ではなく、子どもの成長や人間関係づくりにも影響を与える。

経済状況によって体験機会に差が生まれる「体験格差」が、今後さらに広がる可能性がある。

(引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

<体験格差は子どもの成長に影響するのか>

 

「体験格差」という言葉が近年注目されている。

スポーツ、音楽、旅行、習い事など、家庭の経済力や時間的余裕によって子どもの経験機会に差が生じる現象を指す。

ただし、この問題は単純に「多く体験した子ほど優秀になる」という話ではない。

 

確かに、スポーツや文化活動は、子どもの成長に一定の好影響を与える。

集団活動を通じて協調性や忍耐力を学び、成功体験や失敗体験を積むことで自己肯定感も育まれる。

また、音楽や芸術体験は感性や表現力を広げる契機にもなる。

記事にあるように、「好きなことを続けたい」という思いは、子どもの意欲や将来の夢にもつながる。

 

一方で、「幼少期の体験量」がそのまま人生を決定づけるわけではない。

飛行機や旅行、テーマパークなどを子どもの頃に経験していなくても、大人になってから自ら学び、経験を広げていく人も多い。

つまり、体験格差を過度に不安視し、「多くの習い事をさせなければ子どもが不利になる」と親を追い込むことには注意が必要だ。

 

むしろ問題なのは、「やりたいのに経済的理由で挑戦すらできない状態」が固定化することである。

スポーツや芸術活動には、単なる技術習得以上に、「自分にも居場所がある」「得意なものがある」という心理的支えの役割がある。

特に家庭環境が厳しい子どもほど、学校外の活動が心の支えになる場合も少なくない。

 

また近年は、部活動の地域移行やクラブ化によって、従来より費用や保護者負担が増えている。

昔の学校部活動は、教員の献身や公的支援によって比較的低コストで成り立っていたが、その仕組みが限界を迎えつつある。

結果として、時間・お金・送迎負担を担える家庭と、そうでない家庭との差が広がりやすくなっている。

 

では、どう対応すべきか。

第一に必要なのは、「高額な体験だけが価値ある経験ではない」という視点である。

地域の図書館、公民館、児童館、自然体験、地域スポーツなど、低コストでも豊かな経験は存在する。

 

第二に、自治体や地域による支援強化だ。

低所得世帯向けの補助、用具貸与、移動支援などを充実させることで、挑戦機会を維持できる。

 

さらに、競技団体や企業、地域社会も支援に関わる必要がある。

スポーツや文化活動を「一部の家庭だけのもの」にしないためには、社会全体で支える仕組みが求められる。

 

体験格差は、「体験が少ないと人生が終わる」という問題ではない。

しかし、「やりたいことへの入口が閉ざされる」状態は、子どもの可能性を狭める恐れがある。

重要なのは、過度な競争や不安を煽ることではなく、子どもが自分の興味に挑戦できる最低限の機会を社会として守ることである。
 

 

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