2026年5月2日付のテレ朝NEWSが、

『万博バス会社に96億円請求 大阪メトロが契約解除を通知 バス会社「認められない」』

と題した見出し記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、なぜ、万博で使用された電動バスに不具合が多発しているのか、また、大阪市の契約解除と返金請求は妥当なのか、電動バス購入選定の不備(甘さ)の可能性などについて、考察しました。

 

《記事の要約》

大阪・関西万博で使用された電動バスに不具合が相次いでいる問題で、大阪メトロ がバス販売元の EVモーターズ・ジャパン に対し、約96億円の支払いを求めていることが明らかになった。

大阪市の 横山英幸 市長もこの対応を支持し、「安全性に疑念がある以上、徹底して返還請求すべきだ」との認識を示している。

 

問題となっているのは、万博期間中から不具合が頻発していた電動バスで、充電不能など運行に支障をきたす重大なトラブルが相次いだ。

社内からも「どんな不具合が起きてもおかしくない」といった指摘が出るなど、管理体制の不備が疑われていた。

 

大阪メトロは130台以上の車両について受け取りを拒否し、契約解除を通知。

「安全性への懸念」や「全工程にわたる品質問題」を理由に、強い不信感を示している。

一方、EVMJ側は「契約解除に法的根拠はない」と反論し、責任の所在を巡って対立が続いている。

 

さらに、EVMJは負債約57億円を抱え民事再生手続きに入る方針を示しており、今後の損害回収の見通しは不透明だ。

万博の象徴的な取り組みとされた電動バスは、結果的に大きな課題を残す形となった。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<不具合多発の原因と契約問題、選定の課題>

 

今回の電動バス不具合問題は、単なる製品トラブルではなく、「技術選定」「契約管理」「運用体制」の複合的な失敗と見るべきである。

 

まず不具合多発の背景として考えられるのは、開発・製造体制の脆弱性だ。

EVMJは自社工場を持たないファブレス型企業であり、製造を外部委託している。

この場合、設計・品質管理・製造の統合的な管理が難しく、品質のばらつきや不具合が発生しやすい。

さらに、充電インフラとの互換性不足や運用環境との不整合も重なり、実用段階で問題が顕在化した可能性が高い。

 

次に、万博という「期限付きの大規模プロジェクト」において、実証段階の技術を大量導入したリスクも見逃せない。

本来、新技術は小規模での実証と改善を繰り返した後に本格導入すべきだが、今回は148台という規模で一括導入された。

これは典型的なリスク分散の欠如であり、複数メーカーによる分散調達や段階導入を行っていれば、被害は限定できた可能性がある。

 

契約解除と返金請求の妥当性については、一定の合理性はある。

安全性に疑念があり、実際に運用不能となった以上、契約不適合責任を問うのは当然の対応だ。

ただし、EVMJが民事再生に入っている現状では、96億円の回収は極めて困難であり、「責任追及の意思表示」としての意味合いが強いとの見方もできる。

 

一方で、大阪メトロおよび大阪市側の責任も軽視できない。

ベンダー選定において、実績や信頼性よりも別の要因が優先された可能性が指摘されている。

特に公共交通という高い安全性が求められる分野で、運転特性や整備性を十分に検証せず導入した点は重大な判断ミスといえる。

現場ドライバーの証言にあるように、「戦場のような運用」を強いられたことは、運営側のリスク管理不足を示している。

 

今後必要なのは、調達プロセスの透明化と、技術評価の厳格化である。

具体的には、
1)実証試験の義務化
2)複数ベンダーによる競争導入
3)ライフサイクルコストと整備体制の評価
4)第三者機関による安全審査
などが求められる。
また、環境対応という目的が先行し、「使えるかどうか」の検証が後回しになっていた点も反省すべきだ。

 

今回の問題は、「先進技術=安全・優秀」という思い込みの危険性を示した。
公共インフラにおいては、革新性よりも信頼性が優先されるべきであり、その原則を再確認する必要がある。
 

 

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