2026年4月20日付で、共同通信社が、

『新卒採用「減らす」23% 5年ぶり「増やす」上回る』

と題した記事を報じていました。


以下に、この記事を要約し、AI活用による省人化により、新卒採用を減らす企業が増加する傾向について、今後の学生の進路選びや大学教育への影響について、考察しました。

 

《記事の要約》

共同通信社は2026年4月、主要企業111社を対象に実施した2027年度入社の新卒採用に関するアンケート結果を公表した。

それによると、前年度実績より採用数を「減らす」と回答した企業は23%(25社)に達し、前回調査から11ポイント増加した。

一方、「増やす」とした企業は16%(18社)にとどまり、5年ぶりに「減らす」が「増やす」を上回った。

 

そのほか、「前年度並み」は35%(39社)、「未定」は22%(24社)、「無回答」は5%(5社)だった。これまで続いてきた人手不足感には一服の兆しも見られる。

 

採用を減らす理由として最も多かったのは「デジタル対応を通じた省人化」で、生成AIの活用による業務効率化を挙げる企業が目立った。

例えば、村田製作所は生成AIを活用した業務効率化を理由に挙げ、積水ハウスは即戦力となるキャリア採用の強化を打ち出している。

 

調査は2026年3月中旬から4月上旬にかけて実施され、2027年度入社は2027年4月から2028年3月までの就職を対象としている。

今回の結果からは、AIの普及とデジタル化の進展により、企業の採用戦略が「量」から「質」へと転換しつつある現状が浮かび上がった。

新卒一括採用を前提とした従来の人材確保モデルが見直される局面に入ったといえる。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

AI活用による省人化が進む中、新卒採用を減らす企業が増えている背景には、単なる技術革新だけでなく、複合的な経営課題が存在する。

第一に、生成AIや自動化技術の進展により、従来は若手社員が担っていた定型業務の多くが代替可能になった点が大きい。

企業にとって「育成前提の大量採用」は投資回収リスクが高まり、より即戦力志向へと傾斜している。

 

加えて、初任給の高騰と中堅社員との賃金逆転、早期離職の増加、さらにはハラスメントリスクへの配慮など、組織運営の難しさも影響している。

育成コストと心理的負担を考慮すると、新卒採用を抑制し、経験者採用へシフトする判断は一定の合理性を持つ。

 

この動きは学生の進路選択に大きな影響を及ぼす。

まず、「新卒カード」の価値は依然として高いものの、その門戸は確実に狭まる。

企業は人数よりも質を重視するため、専門性や実務能力、さらにはAI活用スキルを持つ学生が優位になる。

一方で、スキルを持たない学生にとっては選択肢が減少し、就職格差が拡大する懸念もある。

 

また、キャリア採用の比重が増すことで、「新卒で入社し長期育成される」という日本型雇用モデルは変容する。

学生は初職をゴールとせず、キャリアを段階的に構築する意識が求められるだろう。

いわば「就職」から「キャリア設計」への転換である。

 

大学教育への影響も避けられない。

従来の知識伝達型教育ではなく、実務に直結する能力の育成が不可欠となる。

具体的には、データ活用力、問題解決力、コミュニケーション力、さらにはAIと協働する能力が重要となる。

企業が求める人材像が変化する以上、大学側も教育内容の再設計を迫られる。

 

ただし、この流れには注意点もある。新卒採用の縮小が進み過ぎれば、かつての就職氷河期のように若年層の雇用機会が失われる可能性がある。

また、企業が育成機能を弱めることで、長期的には人材の質そのものが低下するリスクもある。

 

ISO思考の観点では、この問題は「短期効率」と「長期的人材育成」の最適化の問題である。

AIによる効率化は不可避だが、組織の持続性を確保するためには、将来を担う人材の育成を放棄してはならない。

単なる採用削減ではなく、「どの能力を持つ人材を、どのように育てるか」という体系的な人材マネジメントが求められる。

 

今後は、学生・大学・企業がそれぞれの役割を再定義し、AI時代に適応した新たな雇用と教育の仕組みを構築できるかが、日本社会の競争力を左右する鍵となるだろう。
 

 

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