2026年4月4日付で、UHB(北海道ニュース)が、

『JR北海道が「上下分離方式」を提案へ_対象は“赤字が大きい”黄色線区の8区間』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、「上下分離方式」の影響と、上下分離方式で、JR北海道の鉄道路線は存続できるのか、などについて、考察しました。

 

《記事の要約》

JR北海道が、単独では維持が困難な赤字路線の存続策として「上下分離方式」の導入を検討していることが明らかになった。

対象は、営業赤字が大きい「黄色線区」と呼ばれる8区間で、すでに自治体側に資料を提示し、協議を進めている。

 

上下分離方式とは、列車の運行を担う「上」をJRが担当し、線路や駅などのインフラを自治体などが保有・維持管理する仕組みである。

欧州では一般的な方式で、日本でも一部路線で導入例がある。

 

JR北海道は、経営改善に向けて国から求められている2027年3月末までに抜本的な再建策をまとめる必要があり、その柱の一つとして上下分離方式を位置づけている。

 

ただし、この方式では線路維持などの費用を自治体が負担することになり、財政的に厳しい地域では大きな課題となる。

人口減少や利用者低迷が続く中で、自治体がどこまで負担できるかが焦点となる。

 

鉄道の存続を巡っては、地域の足としての必要性と、採算性の確保という難しい課題が突きつけられている。上下分離方式がその解決策となるのか、議論が本格化しそうだ。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

上下分離方式は、鉄道の「運行」と「インフラ」を分けることで、経営負担を分散させる仕組みであり、JR北海道のような極端な赤字構造を抱える地域鉄道にとっては、有力な延命策の一つとされる。

しかし、その効果と限界を冷静に見極める必要がある。

 

まず影響として最も大きいのは、負担の主体がJRから自治体へ移る点である。

線路や設備の維持管理費は膨大であり、特に北海道のように広域かつ厳しい自然条件の地域では、その負担は重い。結果として、鉄道の赤字が消えるわけではなく、「誰が負担するか」が変わるに過ぎない。

財政力の弱い自治体にとっては、持続可能性に大きな疑問が残る。

 

一方で、上下分離は鉄道を「採算事業」ではなく「公共インフラ」として位置づけ直す契機にもなる。

道路や水道と同様に、地域維持のための基盤と考えれば、公的負担を伴うこと自体は合理的である。

実際、欧州ではこの考え方が定着しており、日本でも只見線などで導入例がある。

 

しかし、JR北海道の路線は状況がさらに厳しい。人口減少と過疎化により需要そのものが極めて小さく、バスや航空機など代替手段も存在する地域が多い。

このため、上下分離を導入しても利用者が増えなければ、結果的に税負担だけが膨らむ可能性が高い。

特に宗谷線や根室線などは、貨物輸送の役割はあるものの、沿線自治体の負担能力には限界があるとみられる。

 

また、本質的な課題は「国の関与の弱さ」にある。JR北海道の経営問題は、国鉄分割民営化の制度設計や低金利環境による経営安定基金の機能不全など、国の政策的要因が大きい。

したがって、本来は国が長期的な交通インフラ戦略を示し、財政的にも関与すべき問題である。

自治体任せの上下分離では、根本的解決にはならない。

 

今後の対応としては、第一に「路線ごとの役割の明確化」が必要である。

物流幹線として不可欠な路線と、代替可能な路線を区別し、維持・縮小・転換の判断を行うべきだ。

第二に、国・自治体・JR・利用者が費用を分担する新たな制度設計が求められる。

第三に、鉄道に固執せず、バスや新たなモビリティとの組み合わせによる地域交通全体の最適化が不可欠である。

 

結論として、上下分離方式は「存続の可能性を広げる手段」ではあるが、「それだけで存続できる万能策ではない」。

ISO思考で言えば、これはシステム全体の最適化問題であり、個別の手段ではなく、目的(地域維持)から逆算した統合的な交通戦略が求められる。
 

 

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