2026年3月10日付の毎日新聞が、

『公立高校の志願倍率、33道府県で1倍切り 私立無償化の影響か』

と題した記事を報じていました。

以下にこの記事を要約し、「なぜ、公立高校が受験生から選ばれなくなったのか」について、考察しました。

 

《記事の要約》

2026年度入学者を対象とした公立高校全日制の入試で、志願倍率が全国的に低下していることが明らかになった。

毎日新聞のまとめによると、47都道府県のうち33道府県、全体の約7割で志願倍率が1倍を下回った。

前年度と比較して倍率が下がった自治体は8割を超えており、公立高校の人気低下が顕著になっている。

 

倍率が0.9倍を下回った自治体は15、0.8倍未満の自治体も5に上った。

募集人数や入試方式の変更があるため単純比較はできないものの、全体の85%にあたる40都道府県で志願倍率が前年より低下した。

 

背景には少子化による生徒数の減少がある。

ただし、毎日新聞が学校基本調査をもとに中学3年生の生徒数の増減と志願者数を比較したところ、福井、徳島、大分の3県を除く44都道府県で、志願者数の減少率の方が生徒数の減少率より大きかった。

つまり、生徒数の減少以上に公立高校志願者が減っている可能性がある。

 

その要因の一つと指摘されているのが私立高校授業料の無償化政策だ。

私立高校の学費負担が軽減されることで、私立高校への志願者が増え、公立離れが進んでいるとみられる。

すでに無償化を先行して導入している大阪府や東京都では、公立高校の定員割れが相次いでいる。

 

また近年は広域通信制高校の人気も高まっており、生徒の進学先が多様化している。

志願倍率の低下が続けば、公立高校の統廃合議論にも影響が及ぶ可能性がある。

地方では公立高校が地域の拠点として機能している場合も多く、今後の教育政策に与える影響は小さくない。

 

政府は2026年度から私立高校授業料の無償化を全国で実施する方針で、教育現場では公立高校の志願者減少がさらに進むことを懸念する声も上がっている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<なぜ公立高校は選ばれなくなったのか>

 

公立高校の志願倍率が全国的に低下している背景には、複数の構造的な要因が重なっている。

最大の要因は、私立高校授業料の無償化政策である。

これまで私立高校は学費の高さが進学の大きなハードルだったが、無償化によって経済的な差が縮まった。

結果として、教育環境や設備、進学実績などで優位とされる私立高校を選ぶ家庭が増え、公立高校の志願者が減少したとみられる。

 

実際、多くの私立高校は設備投資や特色ある教育プログラムに積極的で、校舎やICT環境、進学指導などで魅力を打ち出している。

一方で公立高校は施設の老朽化や予算制約があり、学校によっては昭和時代の設備が残るなど、保護者や生徒から見た魅力度で差が生じているという指摘もある。

 

もう一つの要因は、公立高校の入試制度である。

公立高校入試では、学力試験だけでなく内申点(調査書)が大きな比重を占める。

内申点は教師による評価に依存する部分があり、公平性や透明性に疑問を持つ保護者や生徒も少なくない。

また、美術や音楽、技術家庭科など実技教科の評価も合否に影響するため、受験の負担が大きいという声もある。

これに対し私立高校は試験科目が少ない場合も多く、受験のハードルが低いと感じる家庭もある。

 

さらに、少子化による教育市場の変化も見逃せない。

生徒数が減る中で、学校側は「選ばれる教育機関」になる必要がある。

私立高校は生徒確保のため積極的な広報や特色づくりを進めているが、公立高校は制度上の制約が多く、機動的な改革が難しい場合が多い。

 

地方では、公立高校の定員割れが地域社会にも影響する。

高校は地域の若者をつなぎとめる拠点であり、廃校や統廃合が進めば人口流出が加速する恐れがある。

実際、地方では高校の存在が地域の活力に直結しているケースも多い。

 

今後、公立高校が生き残るためには、地域と連携した特色づくりが不可欠だ。

例えば地域産業と結びついた専門学科の設置、県外からの生徒受け入れ、寮の整備など、新しい教育モデルを模索する動きも出ている。

 

教育は本来、公が主導して社会の基盤を支える重要な制度である。

公立高校の志願者減少は単なる教育問題ではなく、地域社会や人口政策にも影響する課題だ。

今後は、教育の質と公平性をどう維持するのかという視点で、公立高校の役割を改めて問い直す必要があるだろう。
 

 

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