<時計類製造業における環境パフォーマンスとは>
ISO14001における「環境パフォーマンス」とは、組織が環境に与える影響を、マネジメントシステムを通じて管理・改善する成果のことを指します。
時計類製造業では、精密機器製造に伴う使用資源(電力、水、化学物質など)、発生する廃棄物(電池、金属片、研磨剤等)、そして排出物(VOC、CO2等)が主要な環境負荷源となります。
これらに対し、定量的に評価・監視し、改善行動を取ることが、環境パフォーマンスの向上につながります。
《時計類製造業における環境パフォーマンスの具体例》
以下に、時計類製造業における代表的な環境パフォーマンスの項目と、それに対する取り組み例を示します。
(1)省エネルギーの取り組み
<具体例>
自動旋盤や研磨機などの高精度加工機器の運転による電力消費の削減。
<取り組み方>
・加工機器のインバーター制御化による待機電力の低減。
・工場照明のLED化および自然光の活用による照明負荷の低減。
・稼働率データを基に生産計画を平準化し、ピーク電力を抑制。
(2)化学物質管理と削減
<具体例>
表面処理や接着工程で使用される有機溶剤(トルエン、アセトン等)の使用量削減。
<取り組み方>
・揮発性有機化合物(VOC)使用工程のクローズド化や換気強化。
・代替の水系洗浄剤・接着剤への切り替え試験と評価。
・化学物質インベントリの管理強化と法規制(PRTR法、RoHS等)との整合性確認。
(3)製品ライフサイクルに配慮した設計(DfE)
<具体例>
電池交換型からソーラー充電型時計への移行促進。
<取り組み方>
・ソーラーパネルの小型高効率化による省資源化設計。
・使用済み電池の回収ルートの確立とリサイクル連携。
・長寿命設計による廃棄物抑制(ムーブメントの耐用年数向上)。
(4)廃棄物削減と資源循環
<具体例>
製造工程で発生する金属切削くず、樹脂ランナーなどの再資源化。
<取り組み方>
・分別徹底による素材別リサイクル率の向上。
・切削条件や金型設計の見直しによる発生量そのものの削減。
・外注先との連携によるゼロエミッションの推進。
《環境パフォーマンス改善の進め方》
ISO14001の枠組みにおいて、以下のPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを活用することが有効です。
<計画(Plan)>
上記の環境影響を環境側面として洗い出し、法的要求事項や利害関係者の期待も踏まえて環境目標を設定。
<実行(Do)>
製造部門、設計部門、購買部門などと連携し、具体的な施策を展開。
<評価(Check)>
エネルギー使用量、廃棄物量、VOC排出量等をKPIとしてモニタリングし、目標に対する進捗を定量的に確認。
<改善(Act)>
実績に基づき、改善点を特定し、次年度の計画に反映。
内部監査とマネジメントレビューも組み合わせることで、継続的な改善が可能となります
<結論>
時計類製造業における環境パフォーマンスとは、単に排出削減や法令遵守にとどまらず、製品設計から廃棄までのライフサイクル全体で環境負荷を最小化し、価値を最大化する取り組みを意味します。
環境側面を可視化し、KPIを定めて継続的にPDCAを回すことが、ISO14001における環境マネジメントの本質です。
時計のように精密かつ持続可能な環境対応が求められる今こそ、製造業としての責任と競争力強化の両立が求められています。
環境パフォーマンスは、環境保全だけでなく、企業価値の向上にも直結する重要な要素です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ989号より)
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