2026年2月17日付の朝日新聞が、
『札幌で住宅爆発 北ガス子会社が4年前に点検員から処置提案も放置』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、「なぜ点検員からの処置提案が放置されたのか、再発防止はどうあるべきか、類似の爆破事故を防ぐ為にするべきことは何か」などについて考察しました。
《記事の要約》
札幌市手稲区で2026年2月9日早朝、住宅が爆発し、住民5人が死傷する事故が発生した。
周辺71戸にも被害が及び、住宅の窓や壁が壊れるなど広範囲に影響が広がった。
付近にガスを供給していた北海道ガス(北ガス)は17日に会見を開き、爆発した住宅のガス管について、4年前の点検で腐食の兆候が指摘されていたことを明らかにした。
問題のガス管は、金属管をポリエチレンで被覆したタイプ。
地上部分で腐食の兆候が確認され、点検を担当した委託業者は補修としてテープ巻き処置を提案した。
しかし北ガス子会社は「緊急性がない」と判断し、対応を見送ったという。
事故後の調査では、同じ管に直径約2ミリの穴が見つかり、周辺でガス漏れも確認されたが、穴がいつ発生したかは不明とされる。
さらに爆発前日から当該エリアのガス流量が通常の2~3倍に急増していたことも判明した。
北ガスは道内133カ所、約3万7千戸で同様のコミュニティーガス事業を展開しており、このうち約8500戸で緊急点検を行うとしている。
事故と腐食の因果関係は捜査中だが、点検提案が放置された経緯や組織判断の妥当性が厳しく問われている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<なぜ提案は放置されたのか、再発防止はどうあるべきか>
今回の問題の核心は、「腐食の兆候」という警告が現場から上がっていたにもかかわらず、組織として是正措置が取られなかった点にある。
事故との直接因果関係は今後の捜査に委ねられるが、リスク管理の観点では重大な失敗といえる。
第一に考えられるのは、リスク評価の過小判断だ。
腐食は時間とともに進行する。
4年前に緊急性が低いと判断したとしても、経過観察や再点検の仕組みがなければ、潜在リスクは確実に高まる。
兆候段階での是正を怠れば、重大事故に発展するのはインフラ管理の常識である。
第二は、責任の分散と組織文化の問題だ。
委託業者が提案し、子会社が判断するという構造では、「誰が最終責任を負うのか」が曖昧になりやすい。
現場提案を「コスト」「手間」の観点で先送りする文化があれば、安全は後回しになる。
流量が異常に増えていたというデータも、監視体制が機能していたのか検証が必要だ。
再発防止には三つの柱が必要だ。
第一に、兆候管理の制度化。腐食や異常値が確認された場合、緊急性の有無にかかわらず、期限付きで再評価を義務化する。
第二に、データ監視の強化。流量異常をAIや自動警報で検知し、即時現場確認を行う仕組みを標準化する。
第三に、責任の明確化と外部監査。委託・子会社を含む安全マネジメント体制を一本化し、第三者による定期監査を行う。
ガス事故は一度起きれば甚大な被害を生む。
重要なのは「壊れてから直す」ではなく、「兆しで止める」文化を根付かせることだ。
インフラ事業者には、コストより安全を優先する明確な経営姿勢が求められている。
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