2026年2月5日付の朝日新聞が、

『「白身のトロ」高級魚ノドグロの完全養殖に成功 近大、マグロに続け』

と題した記事を報じていました。

以下にこの記事を引用し、ノドグロの完全養殖について、期待される影響と懸念点について考察しました。

 

《記事の引用》※筆者が一部編集

「近畿大学」は、2026年2月5日、高級魚ノドグロ(アカムツ)の完全養殖に世界で初めて成功したと発表した。

ノドグロは「白身のトロ」とも呼ばれる人気魚だが、水深約100メートルの深海に生息し、水圧や光、振動の変化に極めて敏感なため、養殖が難しいとされてきた。

韓国や台湾など生息域のある国でも完全養殖の事例はないという。

 

近畿大学は、2015年、富山県射水市の実験場で研究を開始。

2024年の能登半島地震では水槽や配管が破損し、多くの稚魚を失う被害を受けたが、研究を継続した。

その結果、2025年10月に人工孵化に成功し、現在は全長約5センチの稚魚およそ7千匹を育成している。

 

課題も残る。

ノドグロはマダイやブリに比べて成長が遅く、人工孵化した個体の9割以上がオスになる点が、量産化の障壁だ。

今後は成長速度や性比の改善を進め、2030年ごろの商品化を目指す。

 

近大はすでにマグロの完全養殖に成功し、「近大マグロ」として国内外で注目を集めてきた。

近大水産研究所の家戸敬太郎所長は「価値が高く、おいしい魚を安定供給できるよう、採算が取れる養殖技術を確立したい」と語っている。

(引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

<ノドグロ完全養殖の期待と懸念>

ノドグロの完全養殖成功は、日本の水産業にとって象徴的な成果だ。

第一の期待は、資源保全と安定供給である。

天然ノドグロは漁獲量が限られ、価格変動も大きい。

完全養殖が実用化されれば、乱獲を防ぎつつ計画的な供給が可能となり、気候変動や国際的な水産資源争奪のリスクを緩和できる。

これは食料安全保障の観点からも大きな意義を持つ。

 

第二に、高付加価値水産物としての産業化だ。

ノドグロは国内外で評価が高く、品質を安定させられれば輸出資源としての可能性も広がる。

近大マグロのように「技術ブランド」を確立できれば、日本の水産技術力を示す象徴にもなり得る。

 

一方で懸念も少なくない。

最大の課題はコストである。

成長が遅い魚種は飼育期間が長くなり、餌代やエネルギーコストがかさむ。

近年は物価高騰で配合飼料の価格も上昇しており、完全養殖魚が「安く庶民に届く」段階に至るかは不透明だ。

近大マグロでも、商業化後に価格が下がらなかったとの声がある。

 

また、技術と市場のミスマッチにも注意が必要だ。

完全養殖技術が確立しても、天然資源が回復すれば価格競争力を失う可能性がある。

研究成果をどの規模で、どの市場に投入するかという経営判断が不可欠になる。

 

さらに、オス偏重の性比問題や成長速度の改善など、生物学的課題も残る。

これらが解決できなければ量産化は難しい。

 

総じて、ノドグロ完全養殖は「夢の技術」ではあるが、成功の鍵は研究成果を事業として成立させる設計力にある。

高級魚にとどまらず、将来的には大衆魚の安定養殖へ技術を応用できるか。

そこまで見据えた展開が、日本の水産業の持続性を左右するだろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ997号より)
 

 

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