<通信装置製造業における環境パフォーマンスとは>
「環境パフォーマンス」とは、組織が自らの環境側面に関連して、環境方針や目標に照らして達成する測定可能な結果を指します。
通信装置製造業においては、原材料の調達から設計、製造、出荷、使用後廃棄まで、製品ライフサイクル全体にわたって環境影響が及ぶため、総合的な視点で環境パフォーマンスを評価し、継続的改善を図ることが重要です。
《通信装置製造業における環境パフォーマンスの具体例》
本業種に特有の環境パフォーマンスの項目には、以下のようなものがあります。
◆エネルギー使用効率(製造・試験工程)
精密機器ゆえのクリーンルーム、温湿度管理、試験装置の稼働がエネルギーを大量消費。
◆希少金属・レアアース資源の使用管理
通信装置に用いられるタンタル、パラジウム、金などの使用量と回収率。
◆製品のエネルギー効率・待機電力の削減
ネットワーク機器の長期運用に伴う消費電力の最適化設計。
◆EMC(電磁両立性)対策に伴う廃材発生量
シールド材、特殊塗装などの環境負荷。
◆製品回収と再資源化の実績
使用済み通信機器のリユース率、リサイクル率。
《それぞれの取組み方と改善手法》
(1)エネルギー使用効率の改善
<手法>工程ごとのエネルギー消費データの可視化
主要設備にエネルギーモニターを設置し、ユニット別原単位を算出。
<改善策>省エネ機器の導入・工程の見直し
冷却装置や試験室照明を高効率モデルに変更、待機電力のカット。
(2)希少資源の管理と代替化
<手法>部材ごとの含有化学物質の把握
購入仕様書にRoHS・REACH適合を明記、MSDS取得を義務化。
<改善策>代替材料の技術検討と採用
銅やアルミによる代替伝導材の使用、技術的試験による代替可否評価。
(3)製品エネルギー効率設計(DfE)
<手法>LCA(ライフサイクルアセスメント)の導入
製品使用段階でのCO2排出を定量化し、設計部門へフィードバック。
<改善策>低消費電力ICの採用、最適回路設計
電源回路の見直し、低損失部品の標準化。
(4)EMC対策と材料廃棄の抑制
<手法>無駄なシールド材・塗料の使用量測定と削減
電磁試験前後で使用材料を見直し、必要最低限化を推進。
<改善策>設計段階でのノイズ抑制回路導入
物理的遮蔽に依存しない環境対応型設計へ転換。
(5)使用済み製品の回収と再資源化
<手法>製品シリアル番号によるトレーサビリティ強化
販売から廃棄までの管理体制を構築し、適切な回収と分解処理。
<改善策>リユース部品の社内活用、リサイクル業者との連携
主要部品(筐体、基板、コネクタ等)の再利用プログラムを構築。
<結論>
通信装置製造業における環境パフォーマンスは、製造工程のみならず、使用段階や廃棄段階までを含めたライフサイクル全体での環境負荷を最小化することにあります。
特に、ICT機器は使用期間が長く、日常的に電力を消費するため、設計段階からの省エネ配慮、使用素材の選定、回収リサイクル体制の構築が極めて重要です。
ISO14001を活用し、環境側面を定量的に把握した上で、明確な目標とKPIを定め、PDCAを回すことで、持続可能な製造業としての信頼を築くことが可能です。
環境パフォーマンスの向上は、単なる環境対策ではなく、企業競争力の強化そのものなのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ987号より)
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