2026年2月9日付のブルームバーグが、
『住友生命、出向者による無断情報持ち出し780件-大手4社に広がる』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、出向者による無断情報持ち出しの背景と社会の「情報セキュリティマネジメントシステム」の認証取得要求の高まりなど影響について、考察しました。
《記事の要約》
住友生命保険は2026年2月9日、販売委託先の金融機関に出向していた社員が、許可なく出向先企業の内部情報を持ち出していた事案が8社・計780件に上ると発表した。
これにより、大手生命保険4社すべてで、出向者による無断情報持ち出しが行われていた実態が明らかになった。
対象期間は2022年4月から2025年10月。住友生命は書面調査やヒアリング、社内イントラネット上のデータ確認を実施し、出向先の販売代理店における保険販売実績や、他社生保の商品情報などが、個人のスマートフォンで撮影され、代理店部門の担当者に送信されていたことを確認した。
これらの情報は、住友生命の代理店部門の役職員間で共有されていたという。
同社は、代理店の取り組み状況を把握し支援する目的で、担当者からの依頼や前任者の助言に安易に応じたことが背景にあったと説明。
不適切な手段による情報取得について謝罪した。関与した出向者は13人で、多いケースでは約50人に情報が共有されていた。
管理職の中には、不適切取得の可能性を認識しながら是正措置を取らなかった者もおり、同社は出向契約違反として社内処分を検討している。
生命保険業界では同様の事案が相次いでおり、日本生命や明治安田生命、第一生命でも無断情報持ち出しが判明・調査されている。
出向慣行と情報管理の在り方が、業界全体で厳しく問われている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<出向者による無断情報持ち出しの背景と、情報セキュリティ認証要求の高まり>
出向者による無断情報持ち出しが相次ぐ背景には、個人の倫理観だけでは片付けられない、構造的な問題がある。
第一に、生命保険業界特有の強い成果主義と競争環境だ。販売実績が評価や報酬に直結する中で、「代理店支援」や「営業効率向上」を名目に、グレーゾーンの行為が黙認されやすい土壌が形成されてきた。
第二に、出向という立場の曖昧さがある。
出向者は、形式上は受け入れ先の業務に従事するが、人事評価やキャリアは元の会社が握っている。
そのため、出向先の内部情報を「自社のために活用してよいもの」と錯覚しやすい。
今回の事案でも、前任者からの引き継ぎや慣行が、不適切行為を常態化させた可能性がうかがえる。
第三に、情報管理体制の甘さだ。
個人のスマートフォンで内部情報を撮影・送信できたこと自体、技術的・運用的な統制が不十分だったことを示している。
管理職が不正の可能性を認識しながら是正しなかった点は、組織としてのガバナンス不全と言わざるを得ない。
こうした事件を受け、企業や取引先、自治体の間で「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証取得を取引条件とする動きが強まっている。
単なるIT対策ではなく、「誰が、どの情報に、どのようにアクセスできるのか」「出向者や委託先をどう管理するのか」といった組織横断的なルール整備が求められているためだ。
特に金融・保険分野では、個人情報や営業機密が集中する。
情報漏えいが起きれば、企業の信用失墜だけでなく、損害賠償や行政処分に発展するリスクも高い。
罰則や賠償の在り方を含めた制度的な抑止策を検討すべき段階に来ている。
今後、企業が生き残るためには、「不正を起こさない社員」に期待するのではなく、「不正が起きにくい仕組み」を構築することが不可欠だ。
出向慣行の見直し、個人端末の利用制限、ログ監視、教育の徹底などを体系化し、第三者認証で担保する流れは、今後さらに加速していくだろう。
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