先日、取引先での仕事を終えて帰る準備をしていた時に、(拙著に)“サインを下さい”という方が突然(笑)あらわれ、驚きました。

 

以前は、講演会や公開セミナーの講師を頻繁に担当していたこともあり、このようなシーンに遭遇することは比較的よくあり、なかには、“一緒に写真をお願いします”と言われたこともありました。

そのため、ペンケースに「サイン用の筆ペン」を入れ、持ち歩いていたこともありました。

 

しかし、近年は、表舞台に立つような目立った活動をせず、ひっそりと生きているので、一瞬、戸惑って(ひと言は何を書こうかな?)しまいました。

 

署名しながら、冗談と本音半分で「私がサインをしたらブックオフで売れなくなりますよ」といいながら、ニコニコする依頼者に本を手渡しましたが、有名人でもなんでもない私の署名を喜んでいただけるのは、嬉しく恥ずかしい限りです。

以下に、中古市場でサイン本の値が下がる理由などを考察しました。

 

 

《筆者の考察》

「サイン本」は、本来“特別感”を付与するための仕掛けだが、店舗やタイミングによっては売れ残り、流通の現場では扱いに困る存在にもなる。

 

理由の一つは需要の限定性だ。

サインの価値は著者への関心と強く結びつくため、固定ファンが少ない場合や、刊行直後の話題性が薄れた後では、一般読者にとって“付加価値”になりにくい。

むしろ、誰宛てでもない直筆の書き込みは、読み手の没入を妨げると感じられることもある。

 

第二に再流通での評価の問題がある。

買取市場では、サインは原則「書き込み」と同義に扱われやすく、保存状態が良くても“美品”から外れる。

結果として査定が下がる、あるいは買取不可となるケースも生じる。コレクター市場では例外もあるが、それは著名性や希少性が担保される場合に限られる。

 

第三に売り場設計との相性だ。

平積みや棚差しの際、サイン本は個体差が生まれるため、回転管理が難しい。

価格は同一でも中身が異なる商品は、在庫の均質性を重んじる小売にとって扱いづらい。

結果として、イベント後に残ったサイン本が“特設のまま動かない”状態に陥りやすい。

 

では、読者からサインを求められたとき、著者は何を書くのか。

よくあるのは「ご愛読ありがとうございます」「心より感謝を込めて」「○年○月 著者名」といった無難で普遍的な定型文だ。

宛名を入れる場合もあるが、再流通を意識して避ける著者も多い。

近年は、作品理解を深める一言や、読後を邪魔しない短いメッセージに留める傾向が強い。

 

サイン本の価値は、善意だけでは成立しない。

読者体験、再流通、売り場運用まで含めた設計があって初めて“意味のある付加価値”になる。

特別感を演出するなら、数量や場面を絞る、宛名の有無を選べる、購入前に可視化する――そうした配慮が、売れ残りと評価低下を防ぐ現実解である。
 

 

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