2026年1月27日付の集英社オンラインが、

『「食料品消費税ゼロになると客が来なくなる」居酒屋店が悲鳴…減税で分かれる業界の明暗』

と題した記事を報じていました。

以下にこの記事を要約し、「なぜ、食料品消費税ゼロで飲食店が経営危機に陥る可能性があるのか」、「消費税を減税した場合の影響と政府のあるべき対応策」について、考察しました。

 

《記事の要約》

高市早苗首相は2026年1月25日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で、2026年度内に食料品の消費税減税を目指す考えを示した。

中道改革連合の野田佳彦共同代表は、より踏み込んで今秋からの導入を主張している。一方で、国民民主党の玉木雄一郎代表は、飲食店の税負担や事務負担が増え、結果として「潰れる飲食店が出てくる」と警鐘を鳴らした。

 

実際、飲食店、とりわけ居酒屋業態を取り巻く経営環境は極めて厳しい。

都内で複数店舗を運営する居酒屋経営者は、「食料品の消費税がゼロになれば、客が宅飲みに流れ、来店客が減るのではないか」と不安を口にする。

近年、食品スーパーやディスカウントストアは総菜部門を強化しており、イオンは新工場を稼働させ高品質総菜を大量供給している。

ドン・キホーテも独自企画で総菜力を高め、家庭での“中食”需要を取り込んでいる。

 

その一方で、宴会需要はコロナ禍以降戻らず、居酒屋は客数減を値上げで補ってきた。

ワタミや大庄でも客数は減少傾向にあり、利益率は0%台と黒字ぎりぎりだ。

人件費や光熱費が高騰する中、これ以上の客数減は致命的になりかねない。

 

さらに問題なのが、食料品消費税ゼロが「非課税」か「免税」かという制度設計だ。

非課税となれば仕入税額控除ができず、飲食店の利益を圧迫する。免税であっても還付までの時間や事務負担が重く、インボイス導入で疲弊する個人店には大きな負担となる。

卸売業者が税分を価格に転嫁しなければ、飲食店側が損失を被る可能性も高い。

 

帝国データバンクによれば、2025年の飲食店倒産は900件に達し、酒場・ビヤホールが最多を占めた。資金繰りが悪化する中での消費税減税議論は、外食産業、とりわけ居酒屋業態に新たな不安を投げかけている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<なぜ食料品消費税ゼロで飲食店が経営危機に陥る可能性があるのか>

<消費税減税の影響と政府のあるべき対応策とは>

 

一見すると、食料品の消費税ゼロは家計を直接支援する分かりやすい政策だ。

しかし、飲食店にとっては必ずしも追い風とはならない。第一の理由は「需要のシフト」である。スーパーやディスカウント店の総菜は、税負担が消えれば相対的に割安感が強まる。

節約志向が強い中、居酒屋のフリー客が宅飲みへ流れる可能性は否定できない。

 

第二の理由は「制度の非対称性」だ。

食料品が非課税扱いになれば、飲食店は仕入れにかかる消費税を控除できず、その分がコストとして残る。

免税であっても、還付までの資金繰り悪化や煩雑な事務負担が重く、零細事業者ほど打撃を受けやすい。消費税は最終的に事業者が納税主体であり、制度変更の影響は経営に直結する。

 

第三に「価格交渉力の格差」がある。

大手チェーンは卸との交渉力を持つが、個人店は弱い。

税率ゼロを理由に仕入価格が下がる保証はなく、結果として利益が削られる可能性がある。

これは事業者のモラルではなく、消費税という仕組み自体が内包する問題だ。

 

一方で、減税が家計の可処分所得を増やし、長期的には消費全体を刺激するとの見方もある。

実際、景気回復にはお金の循環が不可欠であり、一定期間の減税が心理的効果を持つことは否定できない。

ただし、その恩恵が飲食店に届くまでには時間差があり、体力のない事業者が耐えきれない恐れがある。

 

政府に求められるのは、拙速な実施ではなく制度設計の精緻化だ。

具体的には、
(1) 段階的な税率引き下げ
(2) 外食産業への限定的な補填措置
(3) 免税・非課税の整理と簡素な還付スキーム
(4) 将来的に給付付き税額控除へ移行する明確なロードマップの提示
である。
消費者支援と事業者の持続可能性を両立させなければ、減税はかえって地域経済を弱体化させかねない。

 

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