<板紙製造用機械の製造業における環境パフォーマンスとは>

「板紙製造用機械の製造業」は、ダンボール原紙、白板紙、箱板紙などを製造する製紙工場に導入される抄紙機、乾燥機、カレンダー装置、自動制御ユニットなどの大型機械を設計・製造・納入する産業です。

この分野における環境パフォーマンスとは、製造プロセスそのものに起因する環境負荷(エネルギー消費、資源使用、廃棄物発生、化学物質の使用など)と、納入された機械が使用段階において及ぼす環境影響の両面において、環境方針や目標に沿って改善された成果を意味します。

 

板紙製造は、大量の水・蒸気・電力を使用する典型的な重厚長大型プロセスであるため、機械メーカーは、その機器のエネルギー効率や資源利用効率、保守性・寿命延伸性まで視野に入れた設計と製造を求められます。。

 

《環境パフォーマンスの具体例と取組み方》

(1)具体例:機械製造工程におけるエネルギー使用量の削減

<概要>

板紙製造機械は非常に大規模かつ高トルク・高圧力のユニットで構成されており、その製造には大型NC工作機械、溶接設備、表面処理設備が使用されます。

<取組み方>

・工場全体のエネルギー原単位(kWh/売上高またはkWh/装置重量)をKPIに設定。

・稼働率に応じたピークカット運転、無負荷時間の短縮を図るため、稼働モニタリングシステムを導入。

・ヒートポンプ導入や廃熱回収装置による空調・洗浄用温水供給の最適化。

・ISO 50001との統合を視野に入れたエネルギー管理体制の構築。

 

(2)具体例:化学物質(溶剤・塗料)の使用低減

<概要>

塗装工程では防錆や機能性を確保するために溶剤系塗料が用いられるが、揮発性有機化合物(VOC)排出の主因ともなる。

<取組み方>

・低VOC塗料への全面切り替えと、粉体塗装の積極的採用。

・密閉型スプレーシステムや自動塗装ロボット導入により塗着効率を向上させ、塗料使用量を削減。

・塗装ブース排気の活性炭吸着システムでVOC濃度を監視・記録し、排出基準遵守を見える化。

 

(3)具体例:製品使用段階のエネルギー効率改善

<概要>

納入された抄紙機の電力消費量や蒸気使用量は、製紙工場全体の環境負荷に大きく影響する。

<取組み方>

・駆動モーターに高効率IE4相当品を採用し、VFD(可変速制御)との組み合わせで省エネ化。

・抄紙プロセスにおける水分管理の自動制御精度を高め、乾燥工程のエネルギー使用を最適化。

・製品開発部門と連携し、「ライフサイクルアセスメント(LCA)」に基づく設計審査を導入。

・環境ラベリング制度(ISO 14025:EPD)を参考に、使用段階でのCO2排出量を可視化して顧客に提供。

 

(4)具体例:製品の保守性と再資源化への配慮

<概要>

長寿命である板紙機械は、保守性・更新性・解体時の再資源化可能性も環境パフォーマンスの一部。

<取組み方>

・製品部品のモジュール化と標準化を進め、保守・更新時の廃棄物を最小化。

・使用済み機械の回収サービスを実施し、再利用可能部品の選別・再製品化ルートを構築。

・材質別の識別表示(アルミ、鋼、銅など)と分解手順書を提供し、解体作業時のリサイクル率を高める。

 

<結論>

板紙製造用機械製造業における環境パフォーマンスの管理は、自社工場における製造プロセスの省エネ・省資源化と、納入先での製品使用段階における環境影響の最小化の両立が鍵となります。

ISO 14001に基づく環境マネジメントシステムを通じて、エネルギーや化学物質、廃棄物、水資源等の環境側面を体系的に特定し、測定可能な目標を設定して実効的に管理することで、持続可能な産業の構築に貢献できます。

 

この分野では、「製品自体の環境パフォーマンス設計」が他の機械製造業と比較して特に重要であり、将来の製紙業界の脱炭素化の推進力にもなり得ます。

環境配慮が「顧客価値」と直結する時代において、こうした対応が企業競争力の源泉となるのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ983号より)

 

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