2025年1月1日付の読売新聞(電子版)が、
『郵便集配500拠点を2028年度までに統廃合、都市部は跡地を再開発し収益源に…日本郵政検討』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、この日本郵政の経営戦略の効果及び懸念点について、考察しました。
《記事の要約》
日本郵政は、全国約3,000か所ある郵便・物流の集配拠点のうち、2割弱にあたる500か所以上を、2028年度までに統廃合する方向で検討に入った。
郵便物の取扱量が長期的に減少する中、地方の小規模拠点を再編して業務効率を高める一方、都市部では跡地を再開発し、安定した収益源の確保を目指す。
この方針は、2026年5月にも公表予定の次期中期経営計画(2026〜2028年度)に盛り込まれる見通しだ。
拠点数を減らしても配達日数などのサービス品質を維持できるよう、配送ルートの見直しを進める。
全国約2万4,000ある郵便局窓口は維持し、人員削減は行わず、採用抑制によって人件費を段階的に削減する方針である。
地方では小規模な集配センターを統合し、近隣の集配局へ業務を集約する。一方、都市部では好立地の郵便局用地を活用し、不動産開発を進める。
京都駅に隣接する京都中央郵便局は、複合商業ビルへの建て替えを計画しており、同様の再開発候補地は全国主要都市に約30か所あるとみられている。
また、今回の拠点再編には、安全管理体制の強化という狙いもある。
2025年に問題化した点呼不備では、人員不足により法令が守られない事例が指摘された。
拠点を集約し、人員を厚く配置することで管理体制を強化し、法令順守の徹底を図る。
背景には郵便事業の急速な縮小がある。2001年度に263億通あった郵便物は、2025年度には117億通と、半分以下に減少する見通しだ。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<日本郵政の経営戦略の効果と懸念点>
今回の集配拠点統廃合は、日本郵政にとって避けて通れない構造改革であり、一定の合理性と効果が見込まれる。
第一の効果は、固定費の圧縮と業務効率の改善である。
小規模拠点を多数維持する体制は、郵便物減少局面ではコスト過多となりやすい。
拠点を集約し、人員を厚く配置することで、点呼不備に象徴される管理の形骸化を防ぎ、安全・法令順守体制を強化できる点は評価できる。
第二に、不動産再開発による収益多角化である。都市部の一等地を活用した複合開発は、郵便事業の赤字を補う現実的な手段であり、郵便ネットワーク維持の財源確保という意味では一定の戦略性がある。
一方、懸念点も多い。
最大の課題は「ネットワーク設計」である。ヤマト運輸や佐川急便と異なり、日本郵便は信書を起点とした全国均一サービスを基盤としてきた。単純な拠点削減だけでは、配達距離の増大や現場負荷の偏在を招き、地方や山間部ではサービス品質の低下リスクが高い。
現場から指摘される「片道20キロの通勤・配達」問題は、まさに設計思想の欠如を示している。
さらに、特定郵便局を含む約2万4,000局の窓口を維持する方針には、組織改革の本気度を疑問視する声が根強い。
都市部では過密配置、地方では高コスト体質が放置され、管理職層の意識改革が進まなければ、箱だけ変えても実態は変わらない。
ISO思考の観点から言えば、今回の再編は「リスクに基づく意思決定」と「マネジメントレビュー」が問われる局面である。
拠点削減そのものではなく、目的・リスク・現場影響を可視化し、PDCAを回せるかが成否を分ける。
人と文化、マネジメントの改革を伴わなければ、この中期計画は次の計画で、さらに大きなメスを入れざるを得なくなるだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ992号より)
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