2025年12月24日付の朝日新聞が、

『日清紡HD、希望退職560人募集 赤字のアナログ半導体事業が対象』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を引用し、日清紡が採算の取れないアナログ半導体を作り続けてきた要因と予想される組織の問題(経営戦略、意志決定など)について、考察しました。

 

《記事の引用》

日清紡ホールディングス(HD)は、2025年12月24日、アナログ半導体事業などを営む子会社などで、正社員を含む560人の希望退職を募集すると発表した。

対象は、子会社の「日清紡マイクロデバイス」やその国内子会社で勤務する、45歳以上の正社員と嘱託社員、シニア社員。募集期間は2026年4月1~30日で、6月末に退職する。

通常の退職金に加えて特別退職金を支給する。

 

日清紡HDの2025年1~9月期決算は、アナログ半導体事業を中心とする部門の営業損益が58億円の赤字だった。

同部門は2024年12月期の営業損益も赤字だった。

製品は、家電や自動車、産業機器などに使われるが、需要が安定しておらず構造的に利益を上げにくくなっているという。

(引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

<日清紡が「採算の取れないアナログ半導体」を作り続けた理由と組織の問題>

 

日清紡ホールディングスが長年にわたり採算性の低いアナログ半導体を作り続けてきた背景には、「技術の惰性」と「経営判断の先送り」が重なった組織構造の問題がある。

1950年代から半導体事業に取り組んできた同社にとって、アナログ半導体は祖業に近い存在であり、「できる技術」「作ってきた製品」を基準に事業を継続してきた側面が強い。

だが、家電・汎用品向けアナログ半導体は価格競争が激しく、設備投資力と規模で勝る海外勢に対抗できず、構造的に利益を生みにくい市場へと変質していた。

 

本来、半導体事業は市場変化に応じた大胆な投資判断や撤退判断が不可欠である。

しかし日清紡では、「縮小しながら続ける」「人員調整で凌ぐ」といった漸進的対応が繰り返され、事業ポートフォリオの抜本的見直しが後手に回った。

これは経営戦略上の問題であると同時に、意思決定プロセスの課題でもある。

技術部門や現場の声を尊重するあまり、将来収益性や資本効率の視点が十分に反映されなかった可能性が高い。

 

さらに今回の45歳以上を対象とした希望退職は、日本型雇用慣行としては典型的だが、人的資本経営の観点では負の影響が大きい。経験豊富な中核人材の流出に加え、対象外の若手社員の士気低下や自発的離職を招きやすく、「残ってほしい人が残らない」事態を生みかねない。

経営陣の責任の所在が曖昧なまま人員整理を先行させる姿勢は、組織への信頼をさらに損なう。

 

ISO思考で言えば、これは「外部環境の変化を組織の状況として正しく捉えられなかった」典型例だ。

市場構造の変化、技術の陳腐化、投資余力の限界というリスクを早期に認識し、戦略転換や人材再配置を含む体系的対応が取られていれば、今回のような痛みを伴う調整は回避できた可能性がある。

赤字の是正を人員削減で済ませるのか、それとも経営の意思決定そのものを問い直すのか。

今、問われているのは後者である。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ991号より)
 

 

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