2025年12月31日付のダイヤモンドオンラインが、
『中小企業の「終活」なぜ急増?「1万件倒産」より深刻な「衝撃の数字」とは』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、中小企業の「就活」が急増している背景と日本の製造業に与える影響について、考察しました。
《記事の要約》
2025年の企業倒産件数は1万件を超える見通しだが、より深刻なのは「廃業」の急増である。
2024年の休廃業・解散は約6.9万件と過去最多を更新し、2025年は7万件超が確実視されている。
倒産の7倍近い企業が、自ら事業に幕を下ろしている計算だ。
近年、中小企業の間では「デスノート」ではなく「エンディングノート」を準備し、計画的に廃業する動きが広がっている。
倒産が資金繰り破綻による法的整理であるのに対し、廃業は経営者の意思による選択だ。
注目すべきは、廃業企業の約半数が直前期に黒字だった点である。
続けられた可能性があっても、経営者自らが終止符を打っている。
背景には、事業承継の難しさがある。中小企業では創業者が株式と経営権を一体で保有しているケースが多く、後継者が代表を引き継ごうとすると、多額の株式取得負担や個人保証が壁となる。
結果として「社長」にはなっても、実質的な経営権を持たない不安定な体制が生まれやすい。
さらに人手不足、コスト高、産業構造の転換が追い打ちをかける。建設、物流、介護、外食などでは人材確保が困難となり、省人化投資やDXに踏み切れない企業は撤退を余儀なくされている。
製造業ではEVシフトにより部品点数が減り、エンジン関連部品や金型の需要が消えつつある。大手の動きに追随できない中小企業が、廃業を選ぶ例も出ている。
2026年も倒産・廃業の増加は続く可能性が高い。経営者が「立つ鳥跡を濁さず」と畳む前に、次世代が継ぎたいと思える収益力と将来像を示せるかが、今、問われている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<中小企業の「終活」急増の理由と製造業への影響>
中小企業の「終活」が急増している最大の理由は、経営環境の悪化だけではない。
経営者の価値観と社会構造の変化が重なった結果である。
記事が示す通り、廃業企業の多くは赤字倒産ではなく、黒字のうちに「迷惑をかけずに畳む」判断をしている。
これは、廃業が失敗ではなく「経営判断」として認識され始めたことを意味する。
とりわけ深刻なのが人材問題だ。
大卒就職率は77%と高水準で推移し、学生有利の売り手市場が長期化している。
大企業は賃上げや採用広報で人材を囲い込む一方、中小製造業は賃金・労働環境・知名度の面で不利だ。
現場からは「募集しても応募がない」「5〜10年先はさらに厳しい」という切実な声が上がる。
人が採れない以上、事業継続の前提が崩れる。
事業承継も同様だ。
後継者候補がいても、個人保証や経営責任の重さが心理的障壁となり、引き受け手が現れない。
家族経営では、経営権を手放さない高齢経営者が組織の新陳代謝を阻む例も多い。
結果として有能な幹部が去り、企業の将来性が失われていく。
製造業への影響は連鎖的だ。
EVシフトにより、部品や金型、素形材といった裾野産業が縮小し、地域に根差した中小工場が消えていく。
これは単なる企業数の減少ではない。
技術の断絶、技能継承の喪失、サプライチェーンの脆弱化を招く。地域経済においては、工場の廃業が商店、医療、生活インフラの撤退を誘発し、「空洞化」を加速させる。
一方で、新設法人が増えているとの指摘もある。新陳代謝自体は必要だが、問題は質である。
長年培われた製造技術や現場力が、次世代に引き継がれず消えていく点に、日本の製造業の本質的なリスクがある。
中小企業の終活は、個々の企業の問題にとどまらず、日本のものづくり基盤そのものの終活になりかねない。
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