2025年12月30日付の共同通信社が、
『ガソリンの暫定税率廃止 導入半世紀、重負担に不満』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、暫定税率が長年廃止されなかった背景と暫定税率廃止による日本社会への影響について、考察しました。
《記事の要約》
政府は2025年12月31日、ガソリン税に上乗せされてきた暫定税率(1リットル当たり25円10銭)を廃止した。
暫定税率は1974年、道路整備の財源確保を目的に導入され、半世紀にわたり国の重要な税収として維持されてきた。
一方で、ガソリン価格を押し上げる要因として国民の不満は根強く、長年にわたり政治的な争点となっていた。
今回の廃止は、自動車利用者の負担を軽減し、可処分所得を増やすことで消費を下支えする狙いがある。
物流業者の燃料コスト削減を通じ、物価全体の安定につながることも期待されている。
もっとも、すでに政府はガソリン価格を抑える補助金を暫定税率と同額まで拡充しており、廃止によって販売価格が直ちに大きく下がるわけではない。
軽油引取税に課されている暫定税率も、2026年4月に終了する予定だ。与野党6党は2025年11月に廃止で正式合意し、同月の臨時国会で関連法が成立した。
政府は11月中旬から補助金を段階的に増額し、12月に25円10銭とした上で、補助金を終了し減税へと切り替えた。
こうした措置により、価格の急変動を抑えつつ暫定税率廃止を実現した形だ。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<暫定税率が廃止されなかった背景と廃止の影響>
ガソリン暫定税率が半世紀にわたり存続してきた最大の理由は、「財源の安定性」にある。
導入当初は道路整備のための特定財源だったが、2009年に一般財源化されて以降も、年間約1兆円規模の税収を生む“使い勝手のよい税”として維持されてきた。
廃止すれば代替財源の確保か歳出削減が不可避となるため、歴代政権は「暫定」の名の下で先送りを重ねてきたのが実情だ。
また、自動車関連税はガソリン税だけでなく、自動車税、重量税、取得時課税などが重層的に存在する。
地方部では「車は生活インフラ」である一方、都市部では環境負荷や渋滞対策の観点から増税も容認されやすい。
この地域間の受益と負担のズレも、抜本改革を難しくしてきた要因と言える。
今回の廃止によるメリットは明確だ。
家計負担の軽減、物流コストの低下を通じた物価抑制、車依存度の高い地方での生活防衛効果など、実感しやすい恩恵が期待される。
特に「軽自動車を選ばざるを得ない」「古い車に重課されるのは不合理」といった不満の背景には、長年積み重なった自動車関連税への不信がある。暫定税率廃止は、その象徴的な是正と言える。
一方、デメリットや課題も大きい。
道路や橋梁の老朽化対策、除雪や災害対応など、地方ほど維持費は重く、財源不足が表面化すればサービス低下を招きかねない。
また、暫定部分がなくなっても本則税や消費税による「税に税」の構造は残るため、「思ったほど安くならない」という失望感が広がる可能性もある。
本質的な論点は、暫定税率の是非ではなく、自動車と交通をどう位置づけるかという国家の設計思想だ。
走行距離課税、環境負荷に応じた税、あるいは徹底した歳出改革など、選択肢は複数ある。
ISO思考で言えば、目的(持続可能な交通と公平な負担)と手段(税制)が長年乖離していたことが問題だった。
今回の廃止を出発点に、国民が納得できる筋の通った税体系を再設計できるかが、日本社会の成熟度を問う試金石となる。
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