2025年12月29日付の毎日新聞が、
『副首都はどこがいい? 名古屋、横浜、福岡、京都……それぞれの思惑』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、副首都として適した都市について考察しました。
《記事の要約》
大阪を「副首都」に位置付ける構想を巡り、日本維新の会と各政令市長との間で見解の違いが鮮明になっている。
維新代表の吉村洋文大阪府知事は、副首都の要件は大阪都構想、すなわち政令市廃止と特別区設置を前提とすべきだと主張し、要件の緩和には否定的だ。都構想の根拠法である大都市地域特別区設置法は人口200万人以上を条件としており、現状で該当するのは大阪、横浜、名古屋の3市に限られる。
一方、維新創設者の橋下徹氏は、都構想に限定せず、政令市が都道府県権限を持つ「特別市」制度も含めた選択制を提案するが、吉村氏は制度未整備を理由に慎重姿勢を崩さない。
これに対し、他の政令市長からは異論が相次ぐ。福岡市の高島市長は、南海トラフ地震の同時被災リスクを避ける観点から福岡の適地性を強調し、「大阪中心の議論はもったいない」と指摘。
名古屋市の広沢市長も副首都の可能性は認めつつ、市廃止を伴う特別区化には否定的だ。神戸市の久元市長や横浜市の山中市長は、副首都と都市制度を不可分とする考えに疑問を呈し、多極分散型の国づくりや特別市制度創設を含む幅広い議論を求める。
京都市の松井市長は市の統合には否定的ながら、文化庁移転を踏まえ、文化面での首都機能分担に意欲を示した。
与党内でも温度差はあり、自民党は都構想と副首都論を切り分け、複数都市が関与できる枠組みを模索している。
議論は年明けに持ち越され、制度と目的の整理が急務となっている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<副首都に適した条件と候補都市>
副首都構想で最も重要なのは「どこか」ではなく「何を担うか」である。
災害・有事時のバックアップ、人口・機能分散、行政継続性の確保など、目的ごとに必要条件は異なる。
ISO思考で言えば、まず目的(要求事項)を定義し、その達成に必要なプロセスと資源を設計すべきで、場所選定が先行する現状はリスクを高める。
副首都に求められる条件は主に五つある。
第一に、同時被災リスクの低さ。
首都圏と異なる災害リスク帯に位置すること。
第二に、交通・情報インフラの冗長性。
空港・新幹線・通信網が多重化され、迅速な代替が可能であること。
第三に、行政・経済の集積と受容力。
中央省庁の一部や企業本社機能を受け止められる都市基盤と人材。
第四に、ガバナンスの柔軟性。
制度改正や権限移譲に耐える自治体運営能力。
第五に、文化・国際性。国家の顔としての象徴性とソフトパワーだ。
これらを踏まえると、候補は単一都市に限る必要はない。
例えば、関西圏の中枢都市である大阪市は経済規模とインフラで優位だが、南海トラフの影響を考えると単独集中はリスクが残る。
名古屋市は製造業集積と交通の要衝として行政・経済バックアップに適し、福岡市は地理的分散とアジア連結の強みを持つ。
首都圏内でも横浜市は制度改革次第で補完機能を果たせる。
文化面では京都市が象徴的役割を担い得る。
結論として、副首都は「一極」ではなく「機能別に分散配置」するのが現実解だ。
行政継続、経済、文化、外交といった機能を複数都市に割り当て、平時から連携訓練を行う。
これはISOの復権が示すリスクベース思考そのものであり、政治的思惑よりも国家レジリエンスを優先する設計が求められる。
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