2025年12月17日付の毎日新聞が、
『下水道管取り換え中に作業員が生き埋めになり死亡 東京・福生』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を引用し、工事中の穴に土砂が流れ込んだ原因と工事を請け負った施工会社や発注者の福生市が取るべき再発防止策について考察しました。
《記事の引用》
2025年12月17日午後1時20分ごろ、東京都福生市武蔵野台1の下水道工事現場で、「作業員が土砂で生き埋めになり出られない」と119番があった。
警視庁福生署によると、作業をしていた会社員、斎藤大悟さん(45)=府中市是政3=が生き埋めになり、搬送先の病院で死亡が確認された。
現場では3、4人の作業員が下水道管の取り換え工事をしていた。
斎藤さんが深さ2~3メートルの穴の中にいたところ、周囲の土砂が崩れて流れ込み、生き埋めになったという。
現場はJR東福生駅から北西に600メートルの住宅街。
(引用、ここまで)
《筆者の考察》
<工事中の穴に土砂が流れ込んだ原因と再発防止策>
今回の事故は、深さ2~3メートルの掘削穴において、周囲の土砂が崩落し作業員が生き埋めとなった極めて重大な労働災害である。
一般に、掘削深さが1.5メートルを超える場合、労働安全衛生規則に基づき、矢板などの土留め支保工を設置し、土砂崩壊を防止する措置が義務付けられている。
今回の事故では、何らかの理由でこうした基本的な安全対策が不十分、あるいは実施されていなかった可能性が高い。
背景には、工期の逼迫や慢性的な人手不足、熟練した現場監督や職長の不足といった構造的問題がある。
さらに、働き方改革やハラスメントへの過度な懸念から、危険行為に対する厳しい指導や作業中止の判断が躊躇される現場環境も、安全意識の形骸化を招いていると考えられる。
ハインリッヒの法則が示す通り、小さなヒヤリ・ハットの見逃しが、やがて重大事故につながる。
再発防止策として、施工会社は第一に法令順守を徹底し、掘削深さや地盤条件に応じた土留め工の確実な設置を行うべきである。
また、作業開始前の危険予知活動(KY)や、第三者を含む安全パトロールを強化し、「止める勇気」を現場で共有する文化を再構築する必要がある。
一方、発注者である福生市にも責任はある。価格や工期を優先する発注姿勢が、安全対策の省略を誘発していなかったかを検証すべきだ。
適正な工期設定、施工体制や資格者配置の確認、安全管理計画の実効性チェックなど、発注者としての監督責任を強化することが求められる。
老朽インフラ更新が急務となる中だからこそ、安全を犠牲にしない公共工事の在り方が、今まさに問われている。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ990号より)
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