2025年12月22日付の毎日新聞が、
『H3ロケット打ち上げ 2回目の失敗、日本の宇宙開発に大打撃』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、予想される打ち上げ失敗の原因と宇宙開発への影響について、考察しました。
《記事の要約》
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2025年12月22日午前10時50分ごろ、H3ロケット8号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。
準天頂衛星みちびき5号機を高度約3万6000キロの軌道へ投入する計画だったが、第2段エンジンの燃焼が予定より早く終了し、軌道投入に失敗した。
JAXAによると、第1段エンジンは正常に燃焼・分離したものの、第2段エンジンは本来2回行う燃焼のうち、2回目が途中で停止。水素タンクの圧力低下が確認され、推力不足が生じた可能性があるという。
衛星がロケットから分離されたかは確認できておらず、JAXAは軌道投入できなかったと判断した。
今回の打ち上げは当初7日に予定されていたが、第2段エンジンに搭載された誘導制御関連装置の不具合で17日に延期。
さらに同日、地上の冷却注水設備が異常を検知し、発射直前に緊急停止する事態も発生した。
設定ミスが原因と特定され、修正の上で22日に再挑戦していた。
「みちびき」は日本版GPSとして、カーナビやスマートフォンの位置情報を支える重要インフラである。
すでに6号機は軌道投入済みで、7号機を含む7基体制が実現すれば、他国システムに依存しない測位サービスが可能になる計画だった。
だが、今回の失敗で計画の遅れは避けられない。H3は成功率98%を誇ったH2Aの後継機で、初号機の失敗後は連続成功を重ねてきただけに、2度目の失敗は日本の宇宙開発に大きな影響を与える。
JAXAは対策本部を設置し、原因究明を急いでいる。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<予想される失敗原因と宇宙開発への影響>
今回の打ち上げ失敗で最も注目されるのは、第2段エンジンの燃焼停止という推進系トラブルである。
水素タンク圧力の低下は、燃料供給系、バルブ制御、センサー系のいずれか、もしくは複合的な要因が関与した可能性を示唆する。
ロケット開発において「完全な想定外」は稀で、多くの場合は既知リスクの見落としや、想定条件の甘さが重なって顕在化する。
また、意思決定プロセスの問題も重要だ。
直前まで不具合や設定ミスが続いた中で、期日や計画達成へのプレッシャーが、検証の深さや慎重さに影響を与えた可能性は否定できない。
ISO思考で言えば、これは「技術的不具合」以前に「プロセスリスク」「マネジメントリスク」の問題であり、単なる部品交換や設計修正では再発防止にならない。
一方、産業基盤の弱体化も中長期的には無視できない。
H3はコスト削減と量産性向上を目的に、部品点数削減や自動車用電子部品の活用を進めてきた。
合理化自体は正しい方向性だが、サプライチェーン全体で品質ばらつきを吸収する力が低下していれば、限界設計の中で小さな誤差が致命的結果を招く。
宇宙開発全体への影響としては、まず打ち上げ計画の遅延と信頼性評価の見直しが避けられない。
H2Aが引退した現在、H3は日本唯一の大型基幹ロケットであり、再開までの時間が長引けば、測位・安全保障・国際協力の各分野に波及する。
ただし、失敗を過度に悲観し「大打撃」と捉えすぎることも危険だ。
米国などでは、失敗を前提に学習速度を高める文化が根付いている。
重要なのは、原因究明と対策にどこまで時間をかけ、どの時点で再挑戦するかの透明な説明である。
技術的対策だけでなく、判断プロセス、レビュー体制、現場知の継承まで含めて見直すことができれば、今回の失敗は日本の宇宙開発を一段成熟させる契機となり得る。
ISO思考の観点では、「失敗の是正」ではなく「失敗を前提とした仕組みの強化」こそが、次の成功を支える鍵となる。
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