ISO14001において「環境パフォーマンス」とは、組織が環境方針に基づいて、環境側面をいかに管理し、設定した目的・目標をどれだけ達成しているかという結果を意味します。

石油製品製造業は、原油の蒸留や精製、ブレンド、出荷等の各工程で多様かつ重大な環境影響を持つため、「環境パフォーマンスの管理と改善」は事業継続において極めて重要です。

 

この業種における主な環境課題には、以下が挙げられます。

 

・大気汚染物質(SOx、NOx、PM、VOC等)の排出

・温室効果ガス(CO2、メタン等)の排出

・産業廃棄物および危険廃棄物の発生

・水使用と排水管理

・化学物質の漏洩リスク

・爆発・火災による環境緊急事態リスク

 

したがって、これらの側面を定量的に把握し、リスク低減に向けた措置を講じることが「環境パフォーマンス向上」の核心となります。

 

《環境パフォーマンスの具体例と取組み方》

【例1】温室効果ガス(GHG)の排出量削減

<課題>

常圧蒸留装置や加熱炉の燃焼プロセスで大量のCO2が排出される。

<指標例>

原油1バレル当たりのCO2排出量(t-CO2/bbl)、エネルギー使用原単位(GJ/kl)

<取組み方>

・高効率燃焼装置や低NOxバーナーの導入

・コージェネレーションシステムや排熱回収装置の採用

・ISO50001との統合管理によるエネルギー効率の継続的監視と改善

・Scope1・2排出量の定量化と第三者検証(ISO14064)

 

【例2】大気汚染物質の排出抑制

<課題>

脱硫装置や加熱炉からのSOx、NOx、PM排出による地域大気への影響。

<指標例>

装置毎の排出濃度(mg/Nm3)、総排出量(t/年)

<取組み方>

・硫黄分の低い燃料油への切替

・SCR(選択触媒還元)やESP(電気集塵装置)の導入

・定期的なフレアスタック監視、無煙燃焼の徹底

・環境モニタリングデータを使った月次レポートによる是正アクション

 

【例3】排水の質と量の管理

<課題>

冷却水や処理水に含まれる油分、重金属、BODの環境排出リスク。

<指標例>

COD、BOD、油分濃度(ppm)、排水量(m3/日)

<取組み方>

・排水中和設備、油水分離装置、凝集沈殿処理などの高度化

・ゼロエミッション型循環冷却水システムの導入

・環境水質基準に基づく自主管理基準の設定

・排水基準超過時の緊急遮断弁や事故報告ルールの整備

 

【例4】化学物質と廃棄物の管理

<課題>

触媒や添加剤の残渣、タンク底のスラッジ等が危険廃棄物として発生。

<指標例>

年間廃棄量(t)、再資源化率(%)

<取組み方>

・製品ライフサイクル全体におけるグリーンケミストリーの導入

・廃触媒の再生利用(メタルリカバリー)

・廃油再精製プロセスの導入

・ISO14001における「廃棄物最小化方針」の明文化と従業員教育

 

<結論>

石油製品製造業における環境パフォーマンスとは、環境影響の重大性に鑑みた「予防管理と改善行動の積み重ね」に他なりません。

ISO14001は、リスクベースの考え方を土台に、各工程での数値目標、KPIの設定、内部監査、レビューによる改善を体系的に支援します。

 

この産業が社会基盤の一翼を担うからこそ、企業は地域住民・行政・顧客と誠実に向き合い、環境パフォーマンスを「見える化」しつつ、脱炭素社会や循環経済に向けたロードマップを具体的に描く必要があります。

単なるコンプライアンスではなく、持続可能性と競争力の両立を図るための戦略的環境経営が今こそ求められています。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ973号より)

 

 

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