2025年12月2日付の信濃毎日新聞(デジタル版)が、
『ふるさと納税で産地偽装が発覚した市の現実 動物園、ホール、体育施設…26施設で値上げへ 見込んだ収入がなくなり市民の生活に影を落とす』
と題した記事を報じていました。
以下にこの記事を要約し、市民生活への影響について、考察しました。
《記事の要約》
長野県須坂市で発覚した、ふるさと納税返礼品の産地偽装問題の影響が、市の財政と市民生活に広がりつつある。
市は国の人事院勧告に合わせた本年度の職員給与引き上げを見送る方針を、市職員労働組合に伝えた。これにより、市職員は今年度の給与増額が停止される見通しだ。
人事院勧告では、2025年度の国家公務員の月給を平均3・62パーセント増、ボーナスを0・05カ月分増とした。
例年、須坂市もこの勧告に準じて給与を改定してきたが、産地偽装問題による財源悪化から、対応を見送らざるを得なかった。
偽装問題を受け、須坂市はふるさと納税制度から除外され、寄付金の収入が大幅に減少。
市は財政立て直しのため、市営施設の使用料引き上げにも踏み切る。
対象はメセナホール、動物園、旧上高井郡役所、体育施設など26施設。動物園の入園料は一般400円(現行200円)、中学生以下100円(同70円)となる。
三木市長は、各種イベントへの負担金のあり方や実施の可否について「現時点で言えることはない」と述べ、今後も厳しい財政判断が続く可能性を示唆した。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<須坂市に今後起きる影響・会計改善点・ふるさと納税制度の問題>
今回の産地偽装問題は、ふるさと納税依存の自治体経営が抱える脆さを露呈した。
須坂市では、返礼品の偽装が発覚したことで制度から除外され、約34億円規模とされる寄付収入が消失した。
これにより、市民生活には確実に負担が及ぶ。
まず、市営施設の利用料値上げが象徴的だが、今後は図書館、スポーツ施設、その他の行政サービスにも値上げやサービス縮小が波及する可能性が高い。
とりわけ物価高が続く中で市民にとっては実質的な「増税」に等しく、生活負担の増大が避けられない。
加えて、職員給与の凍結は士気低下や人材流出につながる恐れがある。
偽装対応や議会対応という通常業務外の負荷が職員に集中しているうえ、給与だけが据え置かれる状況は現場に深刻な影響をもたらす。
長期的には行政サービスの質低下を招き、市民への悪影響が広がる。
会計運営の問題としては、ふるさと納税収入を通常財源に組み込んでしまった点が大きい。
寄付金は本来、目的基金などに積み、特定事業の加速や設備更新のような“単発支出”に充てるべきである。
恒久的な財源として使用したことが、制度除外後の財政ショックを増幅させた。
自治体としては、一般会計と寄付収入を分離し、財政の平準化を徹底する体制が必要だ。
ふるさと納税制度そのものにも構造的な課題がある。
自治体が仲介業者に多額のマージンを支払う結果、国全体の税収が減るうえ、自治体間競争が過度に激化し、「返礼品ビジネス化」が進む。
その中で、須坂市のようにノウハウ不足の自治体が不正リスクを見抜けず巻き込まれる構造は、制度の限界を示している。
中間業者主導の市場化が自治体の本来業務を圧迫し、ふるさと納税を続けるほど行政リスクが高まる矛盾がある。
今後の須坂市に必要なのは、
①寄付金依存からの脱却
②財政の健全化
③業務フローの改善と人材強化
である。
制度復帰を急ぐのではなく、まず会計の透明性を高め、寄付金の用途と管理方法を見直すことが最優先だ。
さらに、市民負担増が避けられない以上、その理由を丁寧に説明し、市政への信頼回復を図ることが、市民生活への影響を最小化するカギとなる。
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