2025年11月29日付のテレ朝NEWSが、
『エアバス機に不具合 1万人超に影響 “太陽フレア”の影響か』
と題した記事を報じていました。
以下にこの記事を要約し、エアバス機の不具合と太陽フレアの関係について、考察しました。
《記事の要約》
ヨーロッパの航空機大手エアバスが、主力機A320系の一部で「強い太陽放射により飛行制御データが破損する恐れがある」と発表した。
これを受け、全日空(ANA)は対象機の運航を一時停止。11月29日の羽田空港は朝から大混乱となり、国内線95便が欠航、約1万3200人に影響が及んだ。
旅行を予定していた乗客からは、「今日はもう駄目かもしれないが、はっきり分からない」「福岡行きに振り替え、そこから電車で佐賀へ行く」など、戸惑いと落胆の声が聞かれた。
今回の問題は、10月末に北米で起きたジェットブルー航空A320型機の急降下事案がきっかけとされる。
操縦士の入力がないまま機体が突然下降し、多数の乗客が負傷。調査の結果、一部の飛行制御コンピュータでデータが予期せず書き換わっていたことが判明し、太陽からの高エネルギー粒子の影響が疑われている。
エアバスによれば、対象機約6000機のうち5000機はソフトウェア更新で対処可能だが、残る1000機は旧式ハードウェアを使用しており、交換作業に数週間を要する見通し。
ANAは34機を保有し、ソフト更新は1機につき約4時間。30日朝までに大半を完了するという。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<太陽フレアと航空機不具合、その影響・他分野への広がり>
今回のエアバス機の不具合は一見すると「太陽フレアの影響による通信障害」と思われがちだが、実際にはより直接的で物理的な現象が背景にある。
太陽活動が活発化すると、太陽フレアだけでなく、宇宙空間に大量の高エネルギー粒子(宇宙線)が放出される。
これらは地球の磁場や大気で大部分が遮られるものの、高高度を飛ぶ航空機にはより強く到達することがある。
電子機器、とりわけ半導体のメモリ領域では、これらの粒子が衝突すると内部のビットが一瞬だけ書き換わる「ビット反転」が稀に起こりうる。
今回のA320の急降下事案では、このビット反転が飛行制御に関わる重要なデータを乱し、操縦士の意図とは無関係に機首が下がった可能性が指摘されている。
高度なプログラムが使われるほど依存度が高まり、わずかなデータ異常が重大な挙動につながるリスクは増す。
5000機がソフトウェア更新のみで対応可能だったのは、ビット反転を検知する仕組みを強化したり、誤データをそのまま機体制御に反映させないロジックを追加するためだと考えられる。
残る1000機は、旧式のプロセッサやメモリチップが高エネルギー粒子に対して脆弱で、物理的な交換が不可欠となった。
太陽活動は約11年周期で強弱を繰り返し、2025年は極大期に当たる。近年オーロラ出現が増えているのもこの影響で、一部では通信障害、GPS精度の低下、衛星障害などが報告されている。
航空機以外にも、電力網やインターネット基盤、金融取引システムなど、電子機器に依存した社会インフラが影響を受けるリスクは無視できない。
極端な磁気嵐の場合、1998年のカナダ・ケベック州大停電のように、広域停電が起こる可能性もある。
今回のエアバスの迅速な公表・対策は妥当であり、今後も同様の現象が起こりうることを踏まえ、航空当局やメーカーは宇宙線耐性の高い設計、ECC機能を備えたメモリの活用、異常検知アルゴリズムの強化など、継続的な安全対策が求められる。
太陽活動の極大期は続くため、航空分野のみならず社会全体で注意を払う必要がある。
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