「環境パフォーマンス」とは、ISO14001における定義で「組織が自らの環境側面を管理し、環境方針、目的及び目標をどの程度達成しているかを示す結果」のことを指します。

印刷業においては、製版、印刷、加工、梱包の各工程において、大気汚染物質や廃棄物の発生、水使用、エネルギー消費、化学物質の使用などが主な環境影響であり、これらの低減や適切な管理が「環境パフォーマンスの向上」に直結します。

 

ISO14001における環境パフォーマンスは、主に以下の2つの観点で評価されます。

1)重要な環境側面(資源消費、排出、廃棄等)の監視・測定とその改善度合い

2)環境目標やコンプライアンス義務に対する達成状況。

 

《環境パフォーマンスの具体例と取組み方》

(1)揮発性有機化合物(VOC)の削減

<背景>

印刷工程ではインクや洗浄剤からVOCが発生し、大気汚染や光化学スモッグの原因となります。

<取組み方>

低VOCインクや水性インクの導入、洗浄工程の密閉化、脱臭装置の設置。さらに、ISO14064に準じた排出量の定量的評価と公開を実施することで、ステークホルダーへの説明責任を果たす。

 

(2)廃棄物削減(損紙や廃液)

<背景>

損紙(印刷ミスや調整中に発生する用紙)や廃インク・廃液は産業廃棄物として処理され、処理費用と環境負荷が増大します。

<取組み方>

自動化による印刷精度の向上、損紙率のKPI管理、工程分析によるロス要因の特定と改善。廃インクの再利用やセメント原料化などのマテリアルリサイクルの導入も有効です。

 

(3)エネルギー使用量の最適化

<背景>

印刷機や乾燥機の電力・熱使用量は大きく、CO2排出につながります。

<取組み方>

エネルギーマネジメント(ISO50001との統合)を推進し、各工程ごとのエネルギー原単位を管理。

インバーター制御機器の導入やLED照明への切替、再生可能エネルギーの購入によるカーボンオフセットの実施。

 

(4)水使用の削減と排水管理

<背景>

湿し水や洗浄で大量の水が使われ、排水に含まれる有害物質(pH異常、COD高濃度等)が問題となります。

<取組み方>

湿し水の再利用、クローズドループシステムの導入、排水処理設備の高度化(中和処理、活性炭吸着など)。

放流水の定期的な分析と自治体基準との整合も必要です。

 

(5)環境配慮型資材の使用

<背景>

従来の用紙やインクには森林破壊や化学物質リスクが伴うものもあります。

<取組み方>

FSC認証紙、再生紙、植物由来インクの採用など、グリーン購入法やエコマーク基準に適合する資材選定。

サプライヤーとの協働により、ライフサイクル視点での環境影響を低減。

 

《総合的マネジメントの推進》

ISO14001のPDCAサイクルを活用し、上記の各取組みを「目的・目標」として明文化し、定量的な「環境パフォーマンス指標(KPI)」で管理します。

また、内部監査とマネジメントレビューを通じて、継続的改善(Continual Improvement)を促進します。

さらに、利害関係者(顧客、行政、地域社会)とのコミュニケーションも重視されるべきです。

 

<まとめ>

印刷業における環境パフォーマンスの向上は、単なる法令遵守にとどまらず、製品の環境品質向上、企業イメージの向上、コスト削減、ひいては顧客満足度の向上にもつながります。印刷という表現産業が、地球環境への責任を果たす姿勢を打ち出すことで、持続可能なビジネスモデルへの転換を実現できます。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ972号より)


 

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