2025年11月5日付の「STV NEWS」が、
『よつ葉乳業販売のパンケーキミックスに“虫”混入 約8万2600袋を自主回収 都内の直営店で発覚』
と題した記事を報じていました。
混入した「虫」の種類にもよりますが、一般的には、「食品安全上」の問題(例:健康被害)はなく、どちらかと言えば、「品質」の問題でしょう。
しかし、よつ葉乳業は、大手乳業メーカーとしての影響力もあり、社会的責任やFSSCなど食品安全マネジメントシステム認証組織としての責任などから、今回の「虫混入問題」の徹底した原因追及と再発防止策、および、一連の経緯説明とお詫びなどの対応が必要です。
以下に、この記事を要約し、よつ葉乳業に求められる対応と一般論になりますが、「虫混入問題」について予想される原因と再発防止策について、考察しました。
《記事の要約》
よつ葉乳業は2025年11月5日、「異物が混入している可能性がある」として、「よつ葉のバターミルクパンケーキミックス」(450g・150g)計9万6096袋の自主回収を発表した。
このうち流通済みの8万2624袋が対象となる。
10月26日、東京都渋谷区の直営店で仕込み作業中に従業員が虫の混入に気付き、調査の結果、複数の製品から穀類害虫「ヒラタコクヌストモドキ」が確認された。
製造は江別製粉(北海道江別市)が行っており、原材料の投入口で混入した可能性が高いという。現在まで健康被害の報告はない。
同社は同時期に製造された製品を回収し、購入者には代金相当分のクオカードを送付する方針。
対象品は商品裏面の表示で確認でき、専用窓口で対応する。
「北海道バターミルクパンケーキミックス」は別製造元のため対象外。
よつ葉乳業は「多大なご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます。
今後は品質管理体制をさらに強化し、再発防止に努めます」とコメントしている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<虫混入問題の原因・再発防止策・認証機関の対応>
今回の事例では、発見から回収判断までが迅速であり、危機管理として一定の評価ができる。
だが、根本的な課題は製造委託先での防虫管理と原料受入れ検査にある。
混入した「ヒラタコクヌストモドキ」は、穀類や製粉施設に発生しやすい害虫であり、完全な防除は難しい。
主な原因として、
(1)原料小麦に既に虫または卵が含まれていた
(2)保管・搬送時の温湿度管理不備
(3)製造ラインや貯蔵槽の清掃・点検不足
が考えられる。
特に近年の北海道の高温化により、これまで想定外だった害虫の発生が報告されており、気候変動の影響も無視できない。
再発防止には、まず原料段階での受入検査と防虫モニタリング体制の強化が重要だ。
具体的には、温湿度データロガーによる記録管理、原料保管倉庫の定期燻蒸、製造設備のゾーニング強化、金属・異物検出装置の点検精度向上などが挙げられる。
併せて、OEM先(江別製粉)との品質保証協定の再確認と、両社での合同衛生監査の実施が不可欠である。
さらに、製造現場の従業員教育を通じ、異常発見時の報告・対応手順を標準化することが求められる。
一方、よつ葉乳業が取得しているFSSC22000認証の発行機関にも責任がある。
認証機関は今回の重大インシデントを「食の安全関連不適合」として、速やかに、特別監査(特別訪問審査)を実施すべきだ。
審査では、
1)危機管理手順の有効性
2)外部委託先の監視方法
3)原料管理および異物防止策の改善計画
の3点を重点的に確認する必要がある。
もし再発防止策が十分でない場合は、「一時停止」も視野に入れた厳正な対応が求められる。
結論として、今回の虫混入は単なる衛生トラブルではなく、サプライチェーン全体での温度管理・委託先管理・リスクコミュニケーションの不備が浮き彫りになった事例である。
よつ葉乳業には「信頼回復の迅速さ」に加え、「FSSCの理念に沿った再発防止の実効性」が問われている。
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