2025年10月29日付のFNNプライムオンラインが、
『小中の不登校35万4000人と過去最多…いじめ認知件数は76万9000件超え暴力行為も過去最多に 文科省』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、小中学生の不登校が年々増加している背景と国や自治体、学校に必要な対応策について、考察しました。
《記事の要約》
文部科学省の調査によると、2024年度に全国の小中学校で不登校だった児童・生徒は約35万4000人に達し、過去最多を更新した。
12年連続の増加となったが、増加率は2.2%と前年の15.9%から大きく鈍化。新たに不登校となった児童生徒は約15万3800人で、9年ぶりに減少した。
文科省は「国や自治体の支援策の成果が出つつある」と分析している。
一方で、高校の不登校は約6万7700人と、前年度から約1000人減少した。
また、いじめの認知件数は76万9000件を超え、4年連続で増加。重大事態も1400件を超えて過去最多で、このうち約3分の1は、重大化するまでいじめとして認知されていなかった。
文科省は「ネット上のいじめなど見えにくい形態が増加し、重症化してから発覚するケースが目立つ」とし、早期発見・早期対応の重要性を指摘している。
さらに、小・中・高校での暴力行為は12万8000件を超え、こちらも過去最多。
子どもたちの生きづらさが浮き彫りになっており、文科省は「学校現場だけでなく、家庭や地域社会を含めた包括的な支援体制の構築が課題」としている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<不登校増加の背景と社会が取るべき対応>
小中学生の不登校が過去最多を更新した背景には、子どもたちが抱える「生きづらさ」と社会全体の変化が複雑に絡み合っている。
従来の「登校が当たり前」という価値観が揺らぎ、多様な学び方が受け入れられる一方で、学校や家庭の支援体制は十分に整っていない。
背景の一つは、家庭・学校双方の疲弊だ。
教師は増える事務負担と長時間労働で個別対応の余力を失い、親も「行かせる・休ませる」の狭間で心理的に追い詰められている。
不登校対応が「本人の自由」とされる一方で、問題の根底にある孤立感や心のSOSを見逃すリスクが高まっている。
また、いじめや人間関係の悩み、授業への不適応など、学校そのものが安心できる場でなくなっている現実も大きい。
SNSを介したいじめや、教員による不適切指導、過度な競争意識など、子どもを疲弊させる要因は多様化している。
近年は「無理に登校させない」方針が主流となったが、それが「放任」につながり、支援が遅れるケースもある。
国や自治体に求められるのは、単なる「受け皿」づくりではなく、根本的な支援の再構築だ。フリースクールやオンライン学習だけでは孤立は防げない。
スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの常設化、地域医療や児童相談所との連携強化が不可欠である。
特に、不登校初期に心の変化を捉え、家庭・学校・専門家が連携して「安心して休める環境」と「再び社会とつながる場」を両立させることが重要だ。
学校現場は「欠席の数」ではなく「子どもの心の状態」を評価軸とすべきだ。
教員研修の充実と、心理的安全性を高める授業づくり、仲間づくり支援の制度化が急務である。
また、卒業後の社会的自立支援も欠かせない。不登校経験者が進学・就職で孤立しないよう、企業や地域社会も包括的に関わる仕組みを整える必要がある。
不登校は「問題行動」ではなく「心の声」である。子どもたちの声に耳を傾け、「学ぶ意欲」を社会全体で支える体制が、今こそ問われている。
【好評発売中!】
『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版
『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001