2025年10月12日付の産経新聞が、

『「スマホが前提なんて…」行きつけ飲食店を失ったシニアも セルフレジに「戸惑う」』

と題した記事を報じていました。

話題は少し逸れますが、NHKの見逃し配信は、NHKプラスからNHK Oneになりましたが、実家の両親は、この登録ができません。

そもそも、メールアドレスを使用する習慣が無いので、入力画面に移ってもわからないことだらけのようなのです。

本題に戻りますが、この記事を要約し、シニア世代はどのように対処すればいいのか、考察しました。

 

《記事の要約》

スーパーや飲食店で「セルフレジ」や「QRコード注文」など、客自身が操作するデジタル型サービスが急速に普及している。

効率性や人手不足への対応という利点がある一方、機器操作に不慣れなシニア世代には負担が大きく、「人との対面の大切さ」を訴える声も強い。

東京都練馬区の77歳女性はセルフレジで操作に戸惑い、後ろの客に迷惑をかけまいと焦るという。

ガラケー利用の81歳女性も、スマホを前提とするQRコード注文の店には行かなくなった。

視力低下でタブレット注文も苦手で、「紙のメニューを置いてほしい」と訴える。

 

SBペイメントサービスの調査によれば、店舗でのセルフレジ導入率は55.5%に達し、コロナ禍以降の非対面化と人手不足が背景にある。

都内スーパー「アキダイ」では導入初期、操作に不慣れな高齢客を従業員が支援してきた。

一方で、日本総合研究所の高橋研究員は「企業が高齢者の慣れを待たずに非対面化を急ぎすぎた」と指摘し、導入前に高齢者によるモニターテストなどを行い、「人による支援」を並行して残すことが重要だと述べる。

 

また、「ホットペッパーグルメ外食総研」の調査では、スマホ注文の利用経験は60代女性で53.1%にとどまり、20代の87%と大きな差がある。

全体ではコロナ前の26%から67.5%に急増しており、急速なデジタル化が進んだことが分かる。

デジタル化は利便性を高める一方で、「高齢者や機器が使えない人をどう支えるか」という社会的課題を浮き彫りにしている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<シニア世代の対処法とお店側の今後の傾向>

セルフレジやスマホ注文は、店舗の省人化と効率化を目的とした「時代の流れ」だが、シニア世代にとっては「買い物が不安になる」変化でもある。

操作への不安、視力低下、スマホ未所持といった壁は、単なる「慣れの問題」ではなく、社会的なバリアとなりつつある。では、どのように向き合うべきか。

 

まず、シニア側の対応としては、
1)「地域で学ぶ」姿勢
が重要だ。
多くの自治体や携帯会社が無料のスマホ講座を開催しており、セルフレジやQR注文の体験機会を増やすことで「できる」という成功体験を積める。
2)「デジタルを完全に拒絶しない」柔軟さ
も求められる。
ガラケーから段階的に「簡単スマホ」への移行を試み、支払いアプリやタブレット操作を少しずつ学ぶことで不安は軽減できる。
3)「困ったら遠慮せず店員に声をかける」こと
も大切だ。
支援を受けながら少しずつ自立的に操作できるようになることが理想である。

 

一方、店舗側にも「デジタルと人の共存」を意識した設計が求められる。
完全セルフ化やスマホ注文のみの導入は効率的だが、顧客層の一部を切り捨てるリスクを伴う。

少なくとも「有人レジを1台残す」「スマホがない人にはタブレットで代替する」「音声案内や大きな文字表示を採用する」など、シニアが安心して利用できる環境整備が必要だ。

特に車椅子ユーザーや視覚が弱い人向けには、画面位置の高さや操作時間の延長設定など、ユニバーサルデザインの視点が不可欠となる。

 

また、企業側は導入前の「ユーザーテスト」を重視すべきだ。

日本総研の指摘の通り、現場で高齢者が実際に使えるかを検証せず、効率だけを優先すると「利用離れ」が進みかねない。

デジタル化はあくまで「顧客の利便性のため」であり、使えない層を排除するものであってはならない。

 

今後の傾向としては、DX化を進めつつも「選択肢の併存」が主流になると見られる。

つまり、デジタル注文を基本としつつ、アナログ対応を部分的に残す“ハイブリッド型”である。店舗運営のコスト削減と顧客満足の両立には、この「共生型DX」が不可欠だ。

 

結論として、デジタル化は止まらない流れだが、その速度を「人に寄り添う形」で調整することこそが、真のスマート社会への第一歩である。

「便利さ」と「温かさ」を両立する設計ができるかどうか──そこに、次の時代の競争力が問われている。
 

 

 

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