2025年10月2日付の朝日新聞が、
『奈良公園のシカめぐる報道で日テレが声明「中傷、迷惑行為は慎んで」』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を引用し、「なぜ、日本テレビの奈良公園の鹿をめぐる報道」がSNSで炎上することになったのか、また、報道のあり方について改善すべき点について考察しました。
《記事の引用》
日本テレビは、2025年10月2日、報道番組「news every.」で放送された奈良公園(奈良市)のシカを巡るVTRについて、「取材で確認が取れた情報をお伝えしたもの。
取材にお答えいただいた方や無関係の方に対し、誹謗(ひぼう)中傷や迷惑行為等を行うことは、厳に慎んでいただきたくお願い申し上げます」とするコメントをホームページ上で発表した。
VTRは「いいね!の前に考えるそれって本当?」と題したファクトチェックのニュースの中で、2025年9月29日夕に放送された。
コーナーは約5分間にわたり、自民党総裁選(10月4日投開票)に立候補している高市早苗氏による「奈良公園のシカに外国人観光客が暴行を加えている」という発言を検証する内容だった。
VTRでは、奈良を訪れた外国人観光客へのインタビューのほか、現地のガイドや飲食店経営者が「攻撃的な観光客は基本的に見かけない」などと答えるインタビューを伝えていた。
放送後、SNS上では「インタビューに答えていた人物は実在しない」「テレビ局による仕込みだ」といったコメントや、人物を特定しようとする投稿が相次いでいた。
(記事の引用、ここまで)
《筆者の考察》
奈良公園のシカをめぐる日本テレビ「news every.」の報道が炎上した背景には、単なる「SNSの誹謗中傷の暴走」だけではなく、報道機関側の伝え方や姿勢に対する根深い不信感が横たわっている。
番組では「外国人観光客が鹿に暴力を加えている」との発言を検証する趣旨で、現地の飲食店経営者やガイドの声を取り上げ「そのような光景は見かけない」と紹介した。
しかし放送後、SNS上では「取材対象者の実在性」や「発言の公平性」に疑義が呈され、「外国人による鹿への暴力行為を撮影した動画は多数存在するのに、それを無視して『そんなことはない』と印象付けるのは偏向報道だ」と批判が集中した。
さらに、インタビューに登場した人物が別設定で登場していた可能性や、実際には現場に常駐していない人物だったのではないかという憶測も拡散し、報道の信頼性そのものが揺らいだ。
炎上の要因を整理すると、第一に「取材対象の選定と発言の偏り」である。外国人観光客を擁護する声のみを伝え、暴行動画など「否定できない事実」に触れなかったことで「結論ありきの報道」と受け止められた。
第二に「ファクトチェックの限界」である。事実検証と銘打ちながら、現場で短時間の取材をした程度では100%の結論に至れない。
視聴者はその不完全さを見抜き、逆に「テレビが隠している」と疑う心理を強めてしまった。第三に「メディア不信の増幅」である。
SNS時代には、動画証拠や現場の声が即座に共有される。従来のテレビの編集済みVTRよりも「素人投稿」の方がリアルだと受け止められる傾向があり、報道の信頼性低下が一層可視化された。
では改善の道は何か。
第一に、多角的視点の導入である。外国人による暴行を否定する証言だけでなく、問題行為が実際に発生している事例や動画にも触れ、その両面を示すべきだった。
第二に、取材対象者のプロフィールや取材経緯を透明化することだ。
実在性や立場に疑念を抱かれるのは報道機関にとって致命的であり、最低限「どういう人物に、どのような形で取材したか」を補足すべきだった。
第三に、ファクトチェックという形式を過信せず「限界」を明示することが求められる。
検証の結果「現時点で把握できた範囲ではこうだった」と伝えれば、視聴者も絶対的な結論とは受け取らず、炎上の余地を減らせる。
さらに、SNS時代の報道は放送後の反応も含めて設計されなければならない。
動画や追加証言がネットで出回ることを前提に、放送後に検証を補強する記事やQ&Aを速やかに公開する仕組みが必要だろう。
結局のところ、今回の炎上は「視聴者のSNS暴走」だけでなく、「報道側の不十分な多角性と透明性」が招いた信頼失墜である。
報道機関は被害者意識にとどまらず、視聴者との双方向の検証環境を整え、信頼を再構築する責任を負っている。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ979号より)
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