2025年10月4日付のテレビ朝日が、

『千葉・鴨川市のメガソーラー予定地に伐採木散乱…災害の懸念も 県が行政指導58回』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、これまでに発生したメガソーラー事業者にまつわる環境問題とその原因、今後予想されるメガソーラ事業に関するリスクについて考察しました。

 

《記事の要約》

千葉県鴨川市で進む大規模太陽光発電施設の建設現場では、山林146ヘクタールを伐採し、47万枚のパネル設置が計画されている。

空撮では、伐採木が谷間に放置され、土砂災害の危険性が懸念されている。地盤工学の専門家は「雨水が地中に浸透せず、表面を流れることで崩壊リスクが高まる」と警鐘を鳴らす。

県は樹木の仮置き場設置など58回にわたる行政指導を行ったが、十分な改善は見られない。

 

住民らは「ストップ!!メガソーラー」と書かれた看板を掲げ、環境破壊や水害への懸念から反対運動を展開。

事業者に説明会の開催を求めてきたが、誠実な対応は得られていない。

2019年に林地開発許可を条件付きで取得した事業者は、今年初め「協定に法的拘束力はない」として一方的に工事を再開。市は調停に持ち込む異例の事態となっている。

 

県は月1回、林業事務所は週1回の現地確認を行っているが、現場では工事が続行中。

市民は「元に戻せないとしても、これ以上は止めてほしい」と訴える。

事業者の所在地を訪ねても事務所は空で、本社も取材を拒否した。再エネ促進の名の下に進む開発が、地域の安全と信頼を脅かしている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<メガソーラー事業の環境問題・原因・今後のリスク>

鴨川市のメガソーラー問題は、全国各地で繰り返されてきた構造的問題を象徴している。

発端は「再生可能エネルギー促進」を名目に、森林や山間部を安価に利用する開発が急拡大したことだ。国の固定価格買取制度(FIT)により太陽光ビジネスが急増したが、山林伐採による保水力の低下、土砂流出、河川・海域の濁水化など環境被害が各地で発生した。

 

原因は三つある。

第一に、法制度の不備である。森林法や環境影響評価法はメガソーラーを想定しておらず、都道府県は「許可条件に不備がなければ止められない」立場にある。

行政指導しか手段がなく、罰則も弱いため、事業者のモラル任せとなっている。

第二に、事業者の透明性欠如である。土地取得や資金流入経路が不明瞭で、実質的に国外資本が関与する例も多い。

地元への説明不足や協定無視が信頼を失わせている。

第三に、行政の監督体制の脆弱さだ。自治体や県職員が専門知識や人員を欠き、現地確認や進捗管理が追いついていない。

 

これまでに、長野・伊那市や静岡・川根本町、宮崎県えびの市などでも、豪雨による土砂崩れや濁水被害が報告された。

森林伐採型メガソーラーの多くは、急斜面や保安林にまで及び、本来の「環境に優しい再エネ」とは逆行している。

 

今後の最大のリスクは、

1)気候変動による豪雨頻発下での土砂災害の拡大
2)企業の撤退・倒産による放棄設備(ソーラーパネル)の廃棄・流出、
3)地域の防災・景観・観光への長期的悪影響
である。
特にパネルの経年劣化後には、有害金属の流出や撤去費用の未回収が懸念される。

 

必要なのは、再エネ政策と土地利用計画の統合的見直しだ。
平地や既存の産業用地、遊休地での設置を優先し、森林伐採を伴う開発は禁止すべきである。

また、事業許可に法的拘束力を持つ「地域協定制度」や「事業者責任保証制度」を法制化し、監視・罰則を強化することが求められる。

 

再生可能エネルギーは持続可能な社会に不可欠だが、地域の自然・生活・信頼を犠牲にしては本末転倒である。

鴨川の教訓は、今こそ“環境に優しい”の本質を問い直す時期に来ていることを示している。

 

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