2025年9月25日付の読売新聞オンラインが、
『消費者金融4社、「債務整理」巡り弁護士と司法書士全国団体に意見書…依頼者との面談怠り手続きと指摘』
と題した記事を報じていました。
若い世代は、驚く人も多いと思いますが、かつては、弁護士や医師は、社会的な品位や信用を保ち、不当な取引を防ぐために広告が制限されていました。
要は、広告が自由化されると、顧客を不当に勧誘するような「客引き行為」や「不必要な宣伝」が行われるおそれがあり、これを防ぐために存在した規制です。
しかし、現在では、顧客の選択肢を増やし、情報提供の必要性から一定の広告活動が認められています。
それにしても、この記事を読む限り、まさに、弁護士の広告宣伝に規制があった当時、懸念されていた事態が横行しているようで、残念です。
以下の、この記事を要約し、債務整理に関して、記事で紹介された不誠実な対応をする弁護士や司法書士は発生する背景と国や債務者が取るべき対策・心がけについて、考察しました。
《記事の要約》
多重債務者の借金を減らす「債務整理」を巡り、一部の弁護士や司法書士の不適切な対応が問題となっている。
大手消費者金融4社は今年4月、司法書士会に対し、広告や面談の不備を改善するよう求める意見書を提出。
2024年9月には弁護士会にも同様の意見書を出していた。背景には「借金を減額」「ゼロにできる」といった誇大広告で債務者を集め、直接面談を怠る事務所の存在がある。
債務整理には、貸し手と交渉して返済条件を緩和する「任意整理」や、裁判所の決定で返済を免除する「自己破産」などがある。
代理人には弁護士が、また140万円以下の交渉では司法書士も関与できる。
いずれも面談を通じて債務者の生活状況を確認することが義務付けられているが、守られていないケースが相次いでいる。
「大量広告事務所による債務整理二次被害対策全国会議」には今年5月までに237件の相談が寄せられた。
中には自己破産を選択できたはずの債務者が任意整理を強いられ、長期の返済と高額な手数料で苦しむ例もあった。
大阪府の67歳の男性は、SNSで見た広告を信じ司法書士に依頼したが、面談は数分のビデオ通話のみ。費用負担が増え、返済が困難に陥り、別の専門家に相談して自己破産手続きを進めている。
司法書士会は4月に指針を改定し、面談徹底や「有利な結果を保証する広告」の禁止を明記。
弁護士会も会員に面談義務を周知し、不適切事案には厳正に対応するとしている。
過去には「過払い金」返還請求で、面談を省き利益優先に走る弁護士らが問題となった。
現在は依頼が減り、収入源を失った一部の事務所が債務整理に流れているとの指摘もある。
消費者金融大手の担当者は「貸し倒れを懸念しているわけではない。
債務者の生活再建が妨げられることを問題視している」と語る。誇大広告や不誠実な対応は、困窮する人々をさらに追い込む危険をはらんでいる。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
不誠実な対応をする弁護士や司法書士が現れる背景には、まず経済的な要因がある。
かつて多額の報酬を生んだ「過払い金返還業務」が終息し、収益を失った事務所が新たな市場として債務整理に注力している。
誇大広告で依頼者を集め、面談を省略して効率的に処理する姿勢は、その延長線上にある。
また、広告自由化により「借金ゼロ」などの過激な宣伝が横行し、依頼者に誤解を与えている。
広告制作を担うのは弁護士自身ではなく外部業者であり、法規制を知らぬまま消費者を誘引する構造も問題だ。
さらに、多重債務者自身の脆弱性も背景にある。
返済に追われ冷静な判断力を欠く中で、「国が認めた救済措置」といった言葉にすがってしまう。
依頼料や手数料の仕組みを十分に理解できず、結果的に生活再建から遠ざかるケースも多い。
国が取るべき対策としては、第一に広告規制の強化がある。
かつて弁護士や医師の広告が厳しく制限されていたのは、誇大宣伝による被害を防ぐためだった。
情報提供の自由は尊重すべきだが、虚偽・誤解を招く表現は禁止すべきである。
第二に、面談義務の厳格化と監査の強化が必要だ。形式的なオンライン通話を面談とみなすことは不適切であり、直接対話によって債務者の実情を把握することが不可欠である。
第三に、債務整理制度そのものに関する周知を国民に行い、自己破産や特定調停といった複数の選択肢を理解させる仕組みを整えることが求められる。
債務者側の心がけとしては、まず「広告をうのみにしない」ことである。
弁護士や司法書士は必ずしも「正義の味方」ではなく、報酬を得て業務を行う職業人だという現実を理解すべきだ。
依頼する際には、複数の事務所に相談し、費用体系や手続き内容を比較検討する姿勢が必要だろう。
また、借金そのものを「生活再建のための現実的な課題」と捉え、返済能力を超える借入を繰り返さない自己規律も不可欠である。
同時に、教育的な対策も重要である。家庭内での金銭教育が薄れた現代では、義務教育の中で借金や金融リスクを教えるべきだという指摘もある。
多重債務の拡大を防ぐには、入り口の段階で返済能力を踏まえた借入制限を強化することも有効だ。
<結論>
結論として、債務整理をめぐる不誠実な対応は、法律家のモラル欠如だけでなく、制度の隙や借り手の脆弱性が重なって生じている。
国は広告規制と監査強化で環境を整備し、債務者は情報を見極める力と自己規律を持つことで、初めて生活再建の道が開かれる。
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