共同通信社が、2025年9月13日付で、

『政府、女性トイレ行列解消へ本腰 設置基準数策定進推で格差是正へ』

と題した見出し記事を報じていました。

 

話題は少し逸れますが、東海道新幹線の車内に設置されたトイレは、「男性小用」、「男女共用」、「女性専用」、「多目的利用」がありますが、私の感覚だと、最近は、「トイレの前で順番を待っているのは男性」であることが多い気がします。

先日、東海道新幹線を利用した際は、小用を含めた先客の順番待ちが数人いて、少し(2分ほど)待機しましたが空く気配がなく、私の座席は6号車ですが、結局、3号車と4号車の間にあるトイレまで「遠征」して事なきを得ました。

 

以下にこの記事を引用し、政府が取組む格差是正への取り組みと懸念点を考察しました。

《記事の引用》

政府が、駅や大規模イベントなどで発生する女性用トイレの行列解消に向けた対策に本腰を入れている。

2025年6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で、利用環境の改善を明記。

2025年7月に関係府省連絡会議を初開催した。近く国土交通省が有識者会議を発足させる。

今後、先進事例の普及や設置基準数のガイドライン策定を進め、トイレの待ち時間の「男女格差」是正を図る。

 

女性用トイレは個室のため、男性用より便器の数が少なく、利用時間が長い傾向にある。厚生労働省はオフィスなどの事務所についてトイレの設置に関する規則を定めるが、駅などは事業者に委ねているのが実情だ。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<女性トイレ行列解消への政府の本格的な取り組みとその背景>

2025年6月に閣議決定された「骨太方針」において、政府は駅やイベント会場などで頻発する女性トイレの行列問題に対する解消策を明記しました。
7月には関係府省連絡会議を立ち上げ、国土交通省主導で有識者会議を発足させる予定です。
今後は先進事例の共有や設置基準ガイドラインの策定を進め、トイレ利用における「男女格差」を是正する方針です。

 

女性トイレは個室が中心で、男性用に比べて便器の数が少なく、利用時間も長くなる傾向があります。
現在、オフィスなどの事務所トイレは厚労省が規則を設けていますが、駅や商業施設の設置数は事業者の裁量に委ねられており、結果として場所ごとに大きな差が生まれています。

 

<期待される効果>


1. 女性の社会参加を後押し

駅やイベント会場でのトイレ待ち時間が短縮されれば、女性のストレス軽減だけでなく、社会活動への参加促進につながります。
特にスポーツ観戦やライブ会場では、長時間の行列が体調不良や不快感を生み、参加を控える一因にもなっていました。

男女比率に応じてトイレの間仕切りを可変化できる施設を広げることで、イベント時の混雑解消が期待されます。

 

2. 家族利用への配慮

おむつ交換台や広い個室の不足も行列の一因です。男性トイレや多目的トイレへの設備充実が進めば、育児中の家族も安心して外出でき、共働き世帯や観光客への利便性向上が期待されます。

 

3. 観光立国への寄与

訪日外国人旅行者が急増する中、トイレ環境は「おもてなし」の基本です。
清潔で利用しやすいトイレ整備は、観光地の競争力を高める要素となります。

 

<懸念される課題>

1. 男性トイレ減少による逆効果

女性トイレを増やすために、男性トイレを削減する案が出る可能性がありますが、男性トイレも混雑する現状では逆効果です。
東海道新幹線のように、男性が行列を作るケースも増えており、男女双方のニーズを踏まえた設計が必要です。

 

2. 既存施設の改修コスト

新規施設であればガイドラインに沿った設計が可能ですが、既存施設の改修には高額なコスト負担が発生します。
特に駅や商業施設では、スペース拡張が困難な場合も多く、補助金や税制優遇などの政策支援が不可欠です。

 

3. 利用マナーの問題

単純に個室を増やしても、スマホ使用や休憩目的で長時間占有する利用者がいれば、根本的解決にはつながりません。
一定時間経過後にアラームを鳴らす仕組みや、啓発活動によるマナー向上策も並行して進める必要があります。

 

<政策が目指すべき方向性>

1)多目的化と柔軟性

利用者層に合わせた「可変型トイレ」を増やすことで、男女比率やイベント内容に応じた効率的な運用を可能にします。

 

2)公平性と快適性の両立

女性トイレを優先的に増やすだけでなく、男性トイレや多目的トイレの不足にも目を向けることで、すべての利用者が快適に使える環境を整備します。

 

3)財政支援と地方連携

地方自治体や事業者が改修費用を負担できるよう、国の補助金や低利融資制度を活用し、長期的な運営計画を策定します。

 

<結論>

女性トイレの行列問題は単なる不便さにとどまらず、社会参加や観光振興、ジェンダー平等に直結する課題です。
政府がガイドラインを策定することは大きな一歩ですが、実効性を持たせるには、施設改修への財政支援、男女双方のニーズを踏まえた公平な設計、そして利用マナー向上が不可欠です。

国と地方、事業者、利用者が一体となった総合的な取り組みが求められています。


 

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