2025年9月6日付の仙台放送が、
『障がい者支援施設で入浴介助中に湯温50度前後 女性が重いやけど負い死亡〈宮城〉』
と題した記事を報じていました。
以下にこの記事を引用し、事故原因と再発防止策について、考察しました。
《記事の引用》
3年前、宮城県石巻市の障がい者支援施設で入浴中だった女性がやけどをし、その後、死亡していたことが分かりました。
事故があったのは、石巻市門脇の「ひたかみ園」です。
施設によりますと、重度の障がいがあった当時38歳の女性は、2022年12月30日、職員の介助でリフト付きの浴槽に入浴しました。
およそ5分後に引き上げた際、右太ももの皮膚がやけどではがれていて、症状は腹や胸にも広がりました。女性は病院に運ばれましたが、3日後に死亡しました。
職員は入浴前にお湯の表面の温度がおよそ40度であることを確認していましたが、施設の検証では、お湯の内部が50度前後に達していたとみられるということです。
施設によりますと、警察は関係者を業務上過失致死傷の疑いで捜査しています。
(引用、ここまで)
《筆者の考察》
◆事故原因の分析
今回の事故は、障がい者支援施設「ひたかみ園」において、入浴介助中に発生したやけど事故です。
職員は入浴前に表面温度を確認しており、40℃と判断して女性を浴槽に入れました。
しかし、実際には湯の内部温度が50℃前後に達していたとみられます。
この「表面と内部の温度差」が重大な原因です。
特に、重度障がいを持つ利用者は痛みを訴えにくいことが多く、熱湯による異常を即座に伝えられないため、職員側が異常に気付くまでに時間がかかります。
また、施設で使用されていた温度計が表面温度しか測定できない簡易的なタイプであった可能性が指摘されており、構造的なリスク管理不足があったと考えられます。
さらに、人手不足による業務の過密化や、単発バイト職員など経験の浅い職員が増加している現場の特性も背景要因です。
事故当日は年末でシフト調整が難しく、応援職員が入っていた可能性も否定できません。
組織としての安全管理体制が不十分だったことが、事故発生を防げなかった大きな要因といえます。
◆再発防止策
1)温度確認手順の徹底と多重確認
・表面温度だけでなく、湯の内部温度を複数箇所で確認する体制が不可欠です。
・表示温度計に頼らず、手首から前腕を使って実際に湯を確認する習慣を徹底する。
・内部温度を測定できるプロ仕様の温度計やセンサーを導入し、複数のチェックポイントで記録する。
・入浴開始前に「表面・内部双方の温度を記録するチェックシート」を活用する。
2)設備面での安全対策
・根本的に高温水が発生しない設計への改修が求められます。
・給湯設備に**自動温度制御機能(上限設定45℃)**を設ける。
・機械浴槽では、湯の対流を促す循環装置を取り付け、内部温度のムラを防止する。
・温度異常があればアラームで通知する安全装置の義務化を検討。
3)職員教育と資格管理
・介護・支援職員に対する定期的な研修と技術指導が不可欠です。
・新人・応援職員への安全教育を短期集中で実施。
・入浴介助は一定以上の研修修了者が必ず立ち会うことをルール化。
・チームリーダーが最終確認を行うダブルチェック体制を構築する。
4)組織と行政の監督強化
・今回の事故は、組織の隠蔽体質や監督機関の対応の遅れも指摘されています。
・事故報告を迅速かつ透明性高く行うルールを明確化。
・行政による立入検査や設備点検の強化を制度化。
・厚生労働省ガイドラインに基づく第三者評価制度を導入し、定期的に安全体制を検証する。
◆まとめ
今回の事故は、表面温度と内部温度の確認不足、設備上の限界、人手不足、そして組織的な安全管理体制の不備が複合的に絡み合って発生しました。
特に、重度障がい者施設では利用者が異常を訴えにくいため、「人任せにせず、機械と人の両輪での安全管理」が求められます。
再発防止には、現場の意識改革と設備投資、そして行政による監督強化が不可欠です。
この事故を教訓として、全国の介護・福祉施設が安全文化を根付かせることが急務といえるでしょう。
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