2025年8月31日付のテレ朝NEWSが、
『「血の雨が…」都内クマ襲撃の恐怖語る男性 9月「緊急銃猟」もハンター不安』
と題した見出し記事(8月31日付 有働timesより)を報じていました。
以下に、この記事を要約し、2025年9月から開始される「緊急狩猟制度」の期待と課題について、考察しました。
《記事の要約》
<クマ被害相次ぐ 9月から「緊急狩猟制度」始動へ>
東京都日の出町の住宅街にツキノワグマが出没し、庭木の果実を食べる姿が目撃された。
住民によれば、半世紀以上住んでいても初めての出来事だという。さらに奥多摩町では、渓流釣りをしていた男性が突然背後から襲われ「血の雨のようだった」と語るほどの重傷を負った。
都内では今年すでに150件を超える目撃情報が寄せられ、生活圏での出没が常態化しつつある。
北海道でもヒグマが畑や家庭菜園を荒らす被害が続出。学校や寺の敷地内にまで出没し、住民の不安は高まっている。福島町では新聞配達中の男性が襲われ死亡する事故も発生した。
こうした状況を受け、9月から新たに「緊急銃猟制度」が施行される。
従来は警察の許可が必要だった市街地での猟銃使用が、市町村長の判断で可能となる。
ただし住民に被害が及ばない条件を満たすことが前提だ。
一方でハンターからは「誤射による責任リスク」を懸念する声が上がる。
北海道猟友会は「危険と判断すれば依頼を断ることもできる」と各支部に通知。ベテランハンターは「人を守る責務は理解するが、罪に問われるなら撃てない」と本音を漏らす。
宮城県は従来の「被害が出てから駆除」する体制を見直し、今年度から生態調査を兼ねた捕獲を始める方針だ。
クマの増加と人間生活圏への接近が進む中、制度の実効性が問われている。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<緊急狩猟制度の期待と課題>
◆期待される効果
「緊急銃猟制度」の最大の意義は、従来の煩雑な許可手続きを省き、迅速にクマ対応が可能になる点にある。
都内や北海道での人的被害は切迫しており、現場で即応できる体制が整うことで、人命を守る可能性が高まる。
また、市町村長が判断できる仕組みは、地域の実情に即した柔軟な対応を可能にする。住民にとっては「いざという時に守ってくれる仕組みがある」という安心感が広がるだろう。
◆残された課題
しかし課題も多い。
第一に、責任の所在である。
ハンターが誤射や流れ弾で事故を起こせば、免許停止や刑事責任を問われる恐れがある。
そのため「撃つべきかどうか」の判断が慎重になり、制度が有効に機能しない懸念もある。
第二に、人材不足の問題だ。
高齢化でハンター人口は減少しており、危険を伴う緊急駆除に従事する人材は限られている。
報酬や補償が十分でなければ担い手は育たない。
駆除に報奨金を設け、警察や自衛隊と連携して「専門部隊」を育成する構想も検討すべきだろう。
第三に、社会的合意形成の難しさである。
動物愛護の観点から駆除に反対する声も強く、安易な乱獲は避けるべきだ。一方で、命を落とす被害が現実に起きている以上、「共存」の理想論だけでは済まされない。
市民が現実的な危険性を理解し、駆除と保護のバランスを冷静に議論することが必要だ。
◆今後の展望
今後は、
1)市街地での「安全な発砲ルール」の徹底
2)駆除後のデータ収集と分析による「科学的管理」
3)住民への迅速な情報提供と避難訓練
が鍵となる。
加えて、春先の「若グマ教育」やスプレーによる学習的回避策など、殺処分以外の予防的手段も組み合わせる必要がある。
制度は「発砲できるか否か」だけでなく、人間と野生動物がどこまで生活圏を共有できるのかという根本課題を突きつけている。
緊急狩猟は被害防止の一歩であるが、それを持続的な野生動物管理と人間社会の安全保障につなげられるかが今後の焦点となる。
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