環境パフォーマンスとは、組織が定めた環境目標(例:CO₂削減、エネルギー効率向上、廃棄物削減など)に対して、どの程度達成できているかを定量的または定性的に評価する指標です。
遊園地・テーマパークは一見「娯楽」産業の象徴ですが、その運営には大量の電力・水・プラスチック・燃料が消費されるため、環境負荷の高い業種の一つと位置づけられます。
ゆえに、ISO 14001などの環境マネジメントシステム(EMS)を通じたパフォーマンス管理が極めて重要です。
以下に、「具体例」と「その取組み方」を詳しく説明します。
《具体例と取組み方》
1)エネルギー使用量の最適化
●具体例:アトラクション・照明の電力削減
・大型ジェットコースターや照明演出は非常に多くの電力を消費します。
・特にナイトパレードなどでは、消費電力がピークになります。
●取組み方:
・LED照明・スマート制御の導入:
夜間照明や舞台照明をLED化し、照度を時刻や人流に応じて調整。最大40〜60%の削減が実証されています。
・再生可能エネルギーの導入:
施設の屋根に太陽光パネルを設置し、館内・バックヤード電力に利用。
・BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を導入:
施設全体の電力使用をリアルタイムで把握・最適化します。
2)水資源の管理
●具体例:水を使う演出や清掃、トイレ使用など
噴水・ウォータースライダー・清掃・厨房・トイレと、1日に数百トン規模の水が使用される施設も存在します。
●取組み方:
・循環ろ過システムの導入:
水を一度使い切るのではなく、濾過・殺菌処理して再利用(例:プール、噴水設備)。
・節水型トイレ・センサー付き蛇口の導入:
全館で水使用を平均20〜30%削減可能。
・雨水貯留システムの活用:
屋根で集めた雨水を植栽やトイレ洗浄に転用。
3)廃棄物の削減と循環型資源管理
●具体例:フードコートからの食品廃棄・包装ごみ・グッズ包装材
テーマパークでは、1日に数千人規模の来場者がいるため、紙コップ、プラスチック容器、割り箸等の廃棄物が大量に発生します。
●取組み方:
・分別ステーションの設置とピクトグラムによる誘導:
紙・プラ・生ごみ・燃えるごみ等の明確な区分と、多言語対応の視覚的サイン。
・再利用食器・マイボトル推進:
再利用可能な食器を導入。特定ドリンクについてマイボトル持参で割引する仕組みを導入。
・食品ロス削減のためのAI需要予測システム導入:
過剰調理を防ぎ、余剰食材はフードバンクやコンポストへ。
4)CO₂排出量の削減
●具体例:従業員送迎車・園内トラム・輸送業務などで化石燃料を使用
●取組み方:
・EVトラムや電動カートの導入:
園内輸送車両をすべてEV化し、ガソリン車を全廃。
・物流の集約と共同配送:
納入業者との協定により納品時間を指定し、トラック台数を削減。
・カーボンオフセットプログラムの導入:
排出量の一部を森林保全等に投資。
5)環境教育と来園者への啓発活動
●具体例:年間数百万人の来園者に対して環境行動のきっかけを与える場
●取組み方:
・園内イベントでの環境テーマの企画:
エコバッグづくり、SDGsスタンプラリーなど。
・環境報告書の公開と掲示:
年度ごとの電力使用・水使用・リサイクル率などを公式HPや園内にて掲示。
・子ども向け体験型アクティビティ:
リサイクルの仕組みや電気の作り方を楽しく学べるプログラムを常設。
《ISO 14001を活用した継続的改善の枠組み》
環境パフォーマンスの向上には、ISO 14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)の導入が有効です。
特に以下のステップが重要です:
1)環境側面の特定(例:電力使用、CO₂排出、廃棄物量など)
2)法規制の順守(廃棄物処理法、省エネ法、水質汚濁防止法 等)
3)目標とKPIの設定(例:電力5%削減、リサイクル率80%達成など)
4)定期的な内部監査とマネジメントレビュー
5)是正措置と継続的改善(PDCAサイクル)。
《総括:遊園地が環境価値を提供する時代へ》
かつては「大量消費型施設」として見なされていた遊園地やテーマパークも、いまや脱炭素・循環型社会の担い手として期待される存在です。
単なるCSR活動にとどまらず、環境配慮型のブランド価値の構築が来場者の共感や信頼を生み、事業の持続可能性を高めます。
環境パフォーマンスの向上は、娯楽の舞台裏でこそ真価を発揮する経営資源です。
目に見えにくいこの取り組みを、組織全体で可視化し、戦略的に強化していくことが、未来の遊園地づくりに不可欠といえるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ953号より)
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