2025年8月21日付のFNNプライムオンラインが、

『“参加”を通じて子どもの体験格差解消へ 「やってみたい」を社会全体で応援』

と題した見出し記事を報じていました。

記事では、家庭環境や経済格差から生じる「体験格差」をNPO法人が支援しているという話題でしたが、良い時代になったなぁ、と思います。

 

筆者自身も幼少期は、「体験」が多い方ではありませんでした。

両親の実家が自宅と離れていたので、夏休みに「旅行らしきこと」はしていましたが、レジャー目的の旅行は、自分自身で出かけるようになった高校生以降で、飛行機に初めて乗ったのも大学生の時です。

外食も殆どしない家庭だったので、「食べ歩き」をするようになったのは、大学生以降です。

以下に、この記事を要約し、体験格差解消への取り組みとその効果と課題を考察しました。

 

《記事の要約》

「子どもの体験格差をなくそう」。そんな取り組みが企業やNPOの協力で広がっている。

週末に行われた日本航空の体験会では、子どもたちがパイロットの制服を着たり、ビジネスクラスのシートに座ったり、機内食を試食したりと、普段はできない体験を楽しんだ。格納庫見学では飛行機を間近に見て、スタッフの説明に耳を傾ける姿もあった。

 

参加した家族からは「飛行機嫌いの子が少しでも苦手意識を和らげてくれれば」「体験を通じて将来の仕事を考えるきっかけになってほしい」といった声が寄せられた。

 

このイベントはNPO法人フローレンスが進める「こども冒険バンク」の一環。

経済的事情や家庭環境による体験機会の格差をなくそうと、条件を満たす家庭に体験を無料で提供している。

これまでに27社が協力し、航空業界をはじめ多様な体験が子どもたちに提供されてきた。

 

JAL担当者は「飛行機を身近に感じてもらえることが社会に届けられる価値だ」と意義を語る。

フローレンスも「子どもの“やってみたい”を社会全体で応援したい」と強調し、今後も取り組みを続ける方針だ。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<体験格差解消への取り組みの効果と課題>

 

子どもの体験格差とは、家庭の経済状況や保護者の関心、生活環境の違いによって、学びや成長に必要な体験機会が偏る現象を指す。

旅行、習い事、社会見学といった機会は家庭の資金力や情報力に依存しやすく、子どもの可能性に大きな差を生む。

これに対して企業やNPOが協力し、無料や低価格で特別な体験を提供する試みは、格差を縮小する有効な手段となり得る。

 

効果としては第一に、子ども自身の視野拡大が挙げられる。

航空会社の格納庫見学のように、普段触れることのない世界に接することで、恐怖心を和らげたり、将来の夢を描くきっかけを得たりする。特に経済的に恵まれない家庭の子どもにとっては、自らの進路や価値観を形成するうえで大きな刺激となる。

また、こうした取り組みを企業が支援すること自体がCSR(企業の社会的責任)の一環として評価され、社会とのつながりを深める効果も期待される。

 

一方で課題も少なくない。

まず、参加に親の積極的な関与が必要な点だ。親が多忙であったり、体験の意義に無関心であったりすれば、せっかくのプログラムが本当に必要な子どもに届かない。

実際、「学校や地域の放課後教室を通じて直接子どもに声をかける仕組み」がなければ、対象が偏る恐れがある。

 

さらに、公平性の問題もある。

親が情報収集や予約に努力して子どもを体験に参加させても、一定条件を満たす家庭のみが優先される場合、不公平感が生まれる可能性がある。制度設計において「誰に、どのように機会を届けるのか」という選定基準の透明性が欠かせない。

 

また、体験を単発で終わらせず、次につなげる仕組みづくりも重要だ。

たとえば体験後に子どもが興味を持ち続けられるよう、学校教育や地域活動と連携してフォローアップを行う体制が必要である。

体験の継続性がなければ、一過性の思い出で終わり、格差解消の本質的な効果は得られにくい。

 

加えて、企業の善意やCSR活動に過度に依存すれば、景気や経営状況に左右されてしまうリスクもある。

持続可能な仕組みを構築するためには、自治体の支援や公的資金の投入も検討すべきであり、「社会全体で応援する」体制づくりが欠かせない。

 

総じて、体験格差を解消する取り組みは、子どもの成長と社会の多様性を支えるうえで大きな意義を持つ。

ただし、それを真に効果的にするには、家庭環境に左右されない参加方法の整備、公平性の確保、教育との連動、持続性のある運営基盤という課題をクリアする必要がある。

今後は企業・NPO・行政が連携し、子どもたちの「やってみたい」を社会全体で後押しする仕組みづくりが求められている。

 

 

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