2024年8月13日付の産経新聞が、

『不祥事相次ぐ人気菓子シャトレーゼの社長「成長を止める戦略へ」 コンプラ重視で出店凍結』

と題した見出し記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、このシャトレーゼの戦略とその影響について、考察しました。

 

《記事の要約》

和洋菓子大手シャトレーゼ(甲府市)の古屋勇治社長は、相次いだ休業手当不払い、違法残業などの不祥事を受け、産経新聞の取材に応じた。急成長の過程でコンプライアンスがおろそかになっていたと認め、新規出店を大幅に削減する「成長を止める戦略」に転換すると表明した。

同社の売上高は2014年度の430億円から2023年度には約3倍の1313億円、店舗数も2.2倍に増加。コロナ禍でも郊外型店舗が営業を続け、業績を伸ばしてきた。

しかし古屋氏は「会社の基盤が追いつかなかった」と反省。今後は基盤強化を優先し、新規出店は既に準備していた30店舗程度にとどめる。

組織面では品質保証部に加え「労働安全推進部」を新設し、安全・品質・法令順守の体制を強化。

弁護士による年2回の点検やコンサルタントによる評価も導入する。

基盤整備の期間は少なくとも2年間を見込み、供給量減の可能性にも理解を求めた。

同社は2025年、公正取引委員会から下請法違反で勧告、入管庁から外国人雇用に関する改善命令、労基署から労基法違反容疑で書類送検を受けている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<シャトレーゼの戦略の影響(良い面・悪い面)>

 

1. 良い面(プラスの影響)

1)コンプライアンス体制の再構築

労働安全推進部の新設や弁護士点検など、法令順守を組織的に担保する仕組みを導入。過去の不祥事による信頼失墜の回復に向けた第一歩となる。

 

2)長期的な持続可能性の確保

急成長から一時的にブレーキをかけることで、組織や人材育成の遅れを是正し、内部統制を強化できる。伊那食品工業のように「年輪経営」にシフトすれば、安定成長に繋がる可能性が高い。

 

3)品質向上の契機

成長スピードを抑えることで、商品開発や製造プロセス改善に時間を充てられ、低価格モデルでも品質維持・改善の余地が広がる。

 

2. 悪い面(マイナスの影響)

1)売上・市場シェア減のリスク

新規出店を大幅抑制すれば、既存店舗の競争力に依存せざるを得ず、コンビニ・スーパーや地域洋菓子店に顧客を奪われる懸念がある。

 

2)コスト上昇による値上げ圧力

コンプライアンス遵守や人件費増加、原材料費高騰などが重なれば、価格転嫁は避けられず、コスパ重視層の離反リスクが高まる。

 

3)ブランドイメージの回復難航

一部顧客には「不誠実な企業」という負の印象が定着しており、短期間での払拭は困難。信頼回復には継続的かつ目に見える改善成果が不可欠。

 

4)内部混乱の可能性

出店凍結や体制再編は従業員の士気低下を招く恐れがあり、離職増や採用難が悪循環を生む可能性がある。

 

3. 総合評価

この戦略は短期的な業績低下や顧客離れのリスクを伴うが、長期的な安定成長には不可欠な「立ち止まり」である。

急成長期に生じた内部の歪みを是正し、品質・法令順守・人材育成の三本柱を再構築できれば、再び信頼を得て市場での競争力を回復できるだろう。

鍵は、改善過程を外部に積極的に開示し、透明性を高めることにある。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ972号より)

 

【好評発売中!】

『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001