2025年8月18日付の「サステナブル・ビジネス・マガジン」が、
『ミニストップ、23店舗で消費期限の偽装発覚: 消費期限を過ぎた商品の販売も』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、消費期限偽装の原因を予想し、再発防止策を考察しました。
《記事の要約》
ミニストップは2025年8月18日、全国23店舗で「消費期限の表示誤り」が発覚したと公表しました。
問題が見つかったのは「手づくりおにぎり」や「手づくり弁当」、さらに店内加工の惣菜です。
同社は8月9日から販売を中止し、全店舗を調査。その結果、一度売場に並べた商品に新たに消費期限ラベルを貼り直す行為や、ラベルを一定時間貼らずに陳列するなど、ルールを逸脱した販売が確認されました。
消費期限表示は食品安全を守る最後の砦であり、期限を過ぎた食品は食中毒のリスクが高まります。
にもかかわらず、今回23店舗で同様の違反が見つかり、意図的な「表示改ざん」と指摘する声もあります。
ミニストップは「全店での改善策が完了するまで販売を中止する」と発表し、保健所に報告したうえで再発防止に取り組む姿勢を示しています。
しかし、消費者の信頼を損なった事実は重く、今後の対応が注目されます。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<消費期限偽装の原因と再発防止策>
◆ISO9001の観点からの分析(品質マネジメント)
1)顧客要求事項と適合性(8.2)
消費期限表示は顧客の「安全で新鮮な食品を購入したい」という根本的なニーズを直接反映している。
不正なラベル貼替は顧客要求事項に適合していない典型例であり、重大な不適合に当たる。
2)リスク及び機会への取組み(6.1)
廃棄コスト削減を優先するあまり、食品安全リスクを軽視した点はリスクアプローチの欠如である。
品質目標達成のためのリスク評価に「食品安全に関するリスク」を適切に組み込む必要がある。
3)資源・教育訓練(7.2)
消費期限の重要性を現場従業員が理解していなかったことは教育・訓練不足を示す。ISO9001では力量の確保が要求されており、事例を用いた実践的教育や定期的再訓練が不可欠である。
4)監視・測定・内部監査(9.1、9.2)
本部のチェック機能が弱く、不正を検出できなかったのは監視・内部監査の不備を示す。
ISO9001の要求事項に従い、定期的・抜き打ちの内部監査で是正を行う仕組みが求められる。
◆ISO22000の観点からの分析(食品安全マネジメント)
1)前提条件プログラム(PRP)
ラベル表示管理はPRPの一部であり、食品安全に直結する。
手作業によるラベル貼替や未貼付陳列は、PRPの管理不備であり、根本的に是正が必要である。
2)危害分析(HACCPアプローチ)
消費期限改ざんは「微生物学的危害(食中毒菌増殖)」を増加させる。危害分析で「期限切れ食品の販売リスク」を特定し、管理手段(ラベル自動印字、システム連動管理など)を講じる必要がある。
3)是正処置と改善(10.1、10.2)
不適合製品(期限切れ販売)を防ぐ仕組みとして、販売中止や自主回収ルールを迅速に適用し、原因分析を行い、仕組み改善へつなげることが必須である。
4)コミュニケーション(7.4)
消費者や保健所への適時の情報提供は、食品安全インシデントへの必須対応。透明性を確保することでブランド信頼回復に寄与する。
◆再発防止のための具体策(ISO9001・ISO22000共通)
1)自動化とデジタル化
ラベルを手貼りから製造時点の自動印字に変更し、POSデータと連動させる。
2)監査強化
内部監査・抜き打ちチェックを制度化し、結果を経営レビューで共有する。
3)教育の再設計
形式的研修ではなく「食品事故事例」を教材化し、現場での意識改革を図る。
4)ロス管理の構造改革
店舗の廃棄負担を軽減し、不正のインセンティブを取り除く。
5)インシデント公開
消費者・規制当局への迅速な情報開示をルール化する。
<結論>
ISO9001は「顧客要求事項と品質確保」、ISO22000は「食品安全と危害管理」という視点から、いずれも今回の問題を重大な不適合と位置づける。
再発防止には、教育・監査・仕組み改善を統合したマネジメントシステム全体の再構築が必要である。
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