2025年8月10日付の朝日新聞が、

『住宅解体費上昇、平均187万円 人件費や廃棄物処理費の高騰で』

と題した見出し記事を報じていました。

以下のこの記事を要約し、住宅解体費用の高騰で今後予想される影響を考察しました。

 

《記事の要約》

空き家などの住宅解体費が高騰している。解体工事仲介サービス大手のクラッソーネによると、2024年度の1戸あたり平均費用は187.7万円で、前年度比7%増、2020年度比では27%増となった。

背景には人件費や廃棄物処理費の上昇があるという。

 

解体工事仲介サービス大手のクラッソーネは、解体希望者と全国約2000社の工事業者をつなぐサービスを展開。木造住宅(延べ床面積100〜132㎡)の平均費用は、2020年度の148.2万円から年々上昇。中央値でも2020年度140.9万円から2024年度180.0万円に上がった。

価格帯は、2020年度は100万〜159万円が7割を占めたが、2024年度は160万〜219万円が主流に。費用構成は廃材処理費が3〜4割、人件費・重機燃料費が3〜4割で、木材の分別リサイクル義務や人手不足、燃料費高騰が価格上昇の要因となっている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<住宅解体費高騰により予想される影響>

住宅解体費の上昇は、空き家問題の解消や都市再生政策に直接的な影響を及ぼす。特に、地方や郊外では老朽化住宅の撤去が遅れ、空き家の増加による治安・景観悪化、倒壊リスクの放置が進む可能性が高い。

解体費用が200万円前後にまで達すると、高齢者や低所得層は資金的に対応できず、放置空き家が固定化する。

自治体による補助制度があっても、対象要件や予算制約から全件対応は難しい。

 

不動産市場にも影響が及ぶ。更地化コストの増加は土地売買の障害となり、特に更地引き渡し条件での売買は買い手側が価格交渉を強め、売却価格の下落要因となる。

一方、建て替え需要では解体費上昇が新築総費用を押し上げ、住宅取得意欲を減退させる。

これにより住宅着工件数の減少が長期化し、建設業全体の受注環境にも影響する可能性がある。

 

廃棄物処理業界や建設労働市場にも変化が生じる。

木材リサイクルや分別処理の厳格化は環境負荷低減の観点では望ましいが、費用負担は最終的に依頼者が負う。

人件費や燃料費高騰は短期的には価格上昇要因だが、長期的には解体工事の省力化・機械化、廃材再利用ビジネスの拡大などの技術革新を促す可能性がある。

 

また、解体費の高騰は相続放棄の増加要因ともなりうる。

特に、地方の低評価額不動産では、売却しても解体費用を回収できないケースが増え、相続人が負担を避けて放棄する事例が増加する。

これは所有者不明土地問題を拡大させ、公共事業や防災計画の障害となる。

 

総じて、住宅解体費の高騰は空き家対策・土地活用・環境政策・建設業界の構造改革にまたがる複合的課題である。

自治体には補助制度や低コスト解体技術の普及促進が求められ、国レベルでは廃棄物処理規制と費用構造の見直し、リサイクル材市場の拡充が不可欠となる。

 

 

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