会計事務所における品質マネジメントシステム(ISO 9001)の「設計・開発」に該当する事例として、以下のような取り組みが考えられます。会計業務は、法律や規則に基づく専門的なサービスですが、顧客のニーズに対応し、業務の効率性や品質を向上させるためには、標準化された設計・開発プロセスが重要になります。
◆会計サービスの開発
顧客の業種、事業規模、ニーズに応じて、多様な会計サービスを設計・開発することが可能です。
<事例>
中小企業向けの月次決算支援、個人事業主向けの確定申告サービス、税務調査対応プラン、財務コンサルティングパッケージ。
<設計プロセス>
顧客の経営課題や財務状況を分析し、最適なサービスを設計します。価格体系、対応範囲、提供頻度などを明確にし、継続的な改善を図ります。
◆会計報告書・税務書類のフォーマット設計
会計事務所は、顧客に提供する財務報告書や税務書類のフォーマットを標準化し、分かりやすく、かつ法的要件を満たすものにする必要があります。
<事例>
財務諸表(貸借対照表・損益計算書)、キャッシュフロー分析レポート、税務申告書。
<設計プロセス>
規制や税務要件に準拠しつつ、顧客が理解しやすいフォーマットを開発します。デジタル化やクラウド会計システムを活用し、報告書作成の効率化も図ります。
◆会計業務の手順の開発
会計業務の品質を一定に保ち、業務の効率化を実現するために、標準化された業務手順を開発することが求められます。
<事例>
記帳代行の手順、決算処理の流れ、税務相談の対応プロセス、電子申告のガイドライン。
<設計プロセス>
顧客との契約締結からサービス提供、報告、アフターフォローまでの流れを明確にし、業務の標準化を進めます。また、トラブル発生時の対応フローや、顧客からの問い合わせ対応マニュアルの作成も重要です。
◆スタッフの研修プログラム開発
会計業務は、専門性が高く、法改正や業界動向を常に把握する必要があるため、スタッフの教育・研修プログラムの設計が不可欠です。
<事例>
最新の税制改正研修、財務分析スキル向上セミナー、AI・クラウド会計ソフトの活用研修、顧客対応トレーニング。
<設計プロセス>
研修の対象者(新人・中堅・管理職)に応じて、体系的な教育プログラムを開発し、定期的なスキルアップを促します。eラーニングや資格取得支援も組み合わせ、業務の質を向上させます。
◆デジタル会計システムの設計
近年、会計事務所においてもデジタル化の進展が求められており、デジタル会計システムやクラウド会計の導入・設計が重要になっています。
<事例>
クラウド会計システムの導入、電子帳簿保存対応システムの設計、データ分析ツールの活用。
<設計プロセス>
既存の会計業務の流れを整理し、デジタルツールの導入による業務効率化を進めます。顧客がオンラインで会計データを共有できるシステムを構築し、業務の自動化を推進することも含まれます。
会計事務所における「設計」とは、顧客のニーズに応じた会計サービスの開発、報告書のフォーマット設計、業務の標準化、スタッフ教育、デジタルシステムの導入など、多岐にわたる取り組みを指します。
ISO 9001の枠組みを活用することで、これらのプロセスを体系的に管理し、業務の品質を向上させることが可能になります。顧客満足度の向上と業務効率化を両立させるためにも、会計事務所は「設計・開発」に積極的に取り組むべきでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ945号より)
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