2025年8月3日付の産経新聞が、

『エアコンの設置業者不足が深刻 記録的猛暑の北海道ではダイキンやパナソニックが対策強化』

と題した見出し記事を報じていました。

 

私が札幌で仕事を始めた2000年前後は、一般家庭では、クーラーが設置されている家は少なかったですが、この数年の「猛暑」で、7割以上はクーラーを設置しているようです。

しかし、自宅の構造上、エアコンを設置するためのダクトやベランダがないケースも多く、スポットクーラーや窓に設置するタイプのクーラーもかなり売れているようです。

 

以下のこの記事を要約し、エアコンメーカーと施工業者について、予想される課題を考察しました。

 

《記事の要約》

全国的に記録的な猛暑が続く中、北海道でも7月の平均気温が観測史上最高を更新し、エアコンの需要が急増しています。

2025年7月の札幌市の平均気温は25.8℃と、前年同月より2.5℃も上昇。以前は20〜22℃台だった札幌の気温は、2021年以降23℃台で推移していましたが、ここ数年で上昇傾向が鮮明となっています。

 

このような気候変動を受け、北海道でもエアコンの普及が進んでおり、ダイキンの調査によると普及率は60%弱に達しました。

2014年の政府調査では26.6%だったことから、約10年で倍以上の伸びを見せています。

しかし、全国平均の90%超と比べると、依然として遅れが見られます。

 

課題は、エアコンの設置工事を担う施工業者の数が少ないことです。

普及率が低かった北海道では、これまで設置ニーズが限定的だったため、施工体制が整っていませんでした。

そこで空調大手各社は、施工人材の育成に注力しています。

 

ダイキン工業は、北海道旭川市の旭川工業高校に実習用エアコンを寄贈し、2025年2月から実技教育がカリキュラムに組み込まれました。

今後は道内各地の高校への展開も検討しています。

パナソニックは施工業者向け研修を前年比4倍に拡大し、三菱電機も道内各地で「出張型施工研修」を実施するなど、地域密着型の取り組みが広がっています。

 

気象庁は、8月も引き続き高温傾向が続くと見込んでおり、熱中症対策の観点からもエアコン需要のさらなる増加が予想されています。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<北海道におけるエアコンメーカーと施工業者の課題>

 

北海道でエアコンの需要が急増する中、エアコンメーカーと施工業者は大きな課題に直面しています。

その背景には、北海道特有の住宅構造や社会的環境、人的資源の問題があります。

 

まず第一の課題は、住宅構造の違いです。北海道の住宅は冬の寒さに対応するため断熱性が非常に高く、壁が分厚いなど、夏の暑さを前提に設計されていません。

そのため、エアコン設置の際には単なる壁面取り付けでは済まず、断熱材を貫通して配管穴を開けたり、専用コンセントの増設、配線工事などが必要になるケースがほとんどです。

ブレーカー容量の増設や屋根裏、床下を使った複雑な工事も珍しくなく、マンションや本州の住宅であれば2時間で済む工事が、北海道では半日〜2日かかることもあります。

 

第二の課題は、施工業者の絶対的な不足です。

長年エアコンが不要とされてきた地域では、設置ノウハウを持つ電気工事士や設備業者が育っておらず、急激な需要増に供給が追いついていません。

このため、道外からの応援業者に依存する傾向も見られますが、北海道の気候や建物構造に対する理解不足から、断熱パテを使わずに施工し、結露やカビの原因となる事例も報告されています。品質確保の観点からも、地域に根差した職人の育成が急務です。

 

こうした事情を踏まえ、メーカー各社は人材育成と地域研修の強化に動いています。

ダイキンは工業高校での据え付け実習を支援し、次世代の施工人材を育てようとしています。

パナソニックや三菱電機も施工業者向けの大規模研修を展開し、特に「出張型研修」によって現場対応力の底上げを図っています。

 

ただし、教育体制には限界もあります。

例えば、工業高校の進学校化が進む中で、現場即戦力の育成が軽視されつつあるという声もあり、制度面での再考が求められています。

設備施工という実務領域においては、現場経験と資格が重要であり、教育と業界の連携が不可欠です。

 

また、意識の問題もあります。「安く、すぐに設置」を優先し、施工の質を問わない風潮が一部にあることも課題です。

今後の北海道では、長期的な品質や居住環境への影響を見据え、「信頼できる業者を選ぶ」という消費者の意識改革も同時に必要とされます。

 

今後、猛暑が常態化する中で、北海道におけるエアコン施工の質と量の両立は、メーカー・施工者・教育機関・消費者の四者が協調して取り組むべき重要課題となるでしょう。
 

 

 

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