環境パフォーマンスとは、組織が環境目標を達成する能力や成果を示す指標のことです。
フィットネスクラブは、多くのエネルギーと水を消費し、機器のメンテナンスや廃棄物管理などの環境負荷が発生する施設です。
また、会員数の増加に伴い、施設運営による環境負荷も増大します。持続可能なフィットネスクラブ運営を行うためには、エネルギー効率の向上や資源の有効活用などの取り組みが求められます。
以下に「具体例」と「その取組み方」を詳しく説明します。
《具体例と取組み方》
1)エネルギー消費の削減
フィットネスクラブでは、空調や照明、トレーニングマシン、プール設備などが大量の電力を消費します。この消費エネルギーを削減することが重要です。
・具体例:省エネルギー型設備の導入
施設内の照明をLEDに切り替え、省エネルギー型の空調設備や給湯システムを導入することで、電力消費を削減します。
・取組み方:発電機能付きフィットネスマシンの導入
エクササイズバイクやランニングマシンに発電機能を搭載し、利用者の運動エネルギーを施設の電力として活用する仕組みを導入します。
これにより、エネルギー自給率を高めることが可能です。
2. 水資源の効率利用
フィットネスクラブでは、シャワーやプール、サウナの運用に大量の水が使用されます。
この使用量を効率的に管理することが求められます。
・具体例:節水型設備の導入
シャワーやトイレに節水型の設備を導入し、水の使用量を削減します。
・取組み方:再利用可能な水の活用
プールやジャグジーの水をろ過・再利用するシステムを導入し、水資源の効率化を進めます。また、雨水を収集し、清掃や植栽の散水に利用する取り組みも有効です。
3. 廃棄物の削減とリサイクル
フィットネスクラブでは、ペットボトル、紙タオル、プラスチック製品、トレーニングマットなどの廃棄物が多く発生します。
・具体例:リサイクルプログラムの導入
施設内にリサイクルボックスを設置し、ペットボトルや紙製品を分別回収します。
・取組み方:再利用可能な備品の使用
使い捨ての紙タオルの使用を減らし、再利用可能な布タオルを会員に提供する仕組みを構築します。
また、トレーニングマットなどの消耗品は、環境負荷の低い素材のものを採用し、リサイクルプログラムを活用します。
4. CO2排出量の削減
フィットネスクラブでは、会員の通勤や施設のエネルギー消費がCO2排出の主な要因となります。
・具体例:会員の通勤手段の改善
自転車や公共交通機関の利用を促進するため、駐輪場の拡充や公共交通機関利用者向けの特典を導入します。
・取組み方:カーボンオフセットの導入
施設のエネルギー使用によるCO2排出量を算出し、植林活動や再生可能エネルギーへの投資を通じてカーボンオフセットを行います。
5. 持続可能な商品・サービスの提供
フィットネスクラブでは、飲料やプロテイン、トレーニングウェアなどの販売も行われており、これらの製品が環境に与える影響も考慮する必要があります。
・具体例:環境配慮型商品の販売
館内のカフェやショップで提供する飲料を、ペットボトルからリユース可能な容器へ切り替えることで、廃棄物を削減します。
・取組み方:環境負荷の低いトレーニング用品の選定
オーガニック素材のウェアや、再生プラスチックを使用したトレーニング用品を販売し、持続可能な消費を促します。
6. 環境教育と会員・従業員への啓発
フィットネスクラブでは、環境意識の向上を促す活動を行うことで、会員や従業員とともに環境負荷削減に取り組むことができます。
・具体例:環境セミナーやワークショップの開催
環境に優しいライフスタイルを提案するワークショップを定期的に開催し、会員にエコ活動を促します。
・取組み方:エコポイント制度の導入
シャワー時間の短縮やマイボトルの持参など、環境に優しい行動を行った会員に対して、ポイントや特典を付与する制度を導入します。
《取り組みのポイント》
これらの取り組みを効果的に実施するためには、ISO 14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)の導入が有効です。
EMSを活用することで、環境目標の設定、具体的な施策の導入、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを通じた継続的な改善が可能になります。
また、施設のブランディングとして「エコフィットネス」や「グリーンジム」のコンセプトを打ち出すことで、環境意識の高い顧客層の獲得にもつながります。
持続可能な運営を行うことで、環境負荷の削減だけでなく、フィットネスクラブの競争力向上や会員満足度の向上にも貢献できます。
環境パフォーマンスの向上は、フィットネスクラブの長期的な持続可能性を支える重要な要素であり、社会的責任を果たしながら健康的なライフスタイルを提供することができます。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ947号より)
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