2025年7月24日付のCNNが、
『米スタバCEOの報酬、一般社員の給与の6666倍』
と題した見出し記事を報じていました。
以下にこの記事を要約し、スタバの労働組合や日本社会に与える影響について考察しました。
《記事の要約》
米国スターバックスでは、提供されるコーヒーの量だけでなく、経営陣と従業員の給与格差も拡大している。
2024年、スタバのCEOであるブライアン・ニコル氏の報酬は約9800万ドル(約143億円)に上り、これは同社の平均的な従業員の給与(約1万5000ドル)の約6666倍に達した。この数字は、米国上場企業500社の中でも最大の格差とされている。
ニコル氏は2024年9月にCEOに就任したばかりだが、その報酬額はSECへの提出書類に基づいて算出されたもの。
同社によると、平均的な従業員とは、米国内でパートタイム勤務するバリスタを指す。
さらに報酬計算には、世界中の約36万人の従業員も含まれており、米国の従業員だけではないと説明している。
米労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)の報告によれば、S&P500企業のCEO報酬は前年比で7%増加し、平均で1890万ドルに達した。
一方で、一般の民間部門労働者の賃金上昇率はわずか3%にとどまり、格差はさらに拡大している。
スターバックスでは、低賃金や待遇改善を求める従業員によって労働組合「スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド」が結成され、近年、複数店舗でストライキが行われている。
労使間の格差への批判は強まっており、賃上げ要求が中心的な課題の一つとなっている。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
米国スターバックスで拡大するCEOと従業員の報酬格差は、単なる企業内の問題にとどまらず、資本主義社会における不均衡を象徴する事例である。
このような極端な格差は、従業員の不満を高め、労働組合の台頭を後押ししている。
実際、スタバでは「スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド」が結成され、待遇改善を求めたストライキが活発化している。
この動きは、グローバル企業が利益を株主と経営陣に集中させる構造への警鐘とも言える。
報酬格差が6666倍という数字は、経営の巧拙以前に、制度としての「公平さ」の欠如を象徴しており、企業倫理や社会的責任が問われる局面に来ている。
一方、日本社会においても、こうした動きは他人事ではない。近年、国内でも非正規労働者やパートタイマーの待遇格差が顕在化しており、企業内格差の是正が社会課題となっている。
スタバのようなグローバルブランドが日本でも展開している以上、その企業文化や経営方針は、日本の労働環境にも間接的に影響を与える。すでに一部の日本企業では、欧米の格差是正運動に触発され、社内の報酬制度を見直す動きも出てきている。
また、スタバの組合活動は、労働者の声を組織として可視化する点で、日本の労働環境に示唆を与える。
日本では労働組合の組織率が低下傾向にあり、若年層の多くが「組合に所属する意義」を感じにくくなっている。
しかし、スタバのように若い労働者が中心となって声を上げることで、労使間の対話が生まれ、労働環境の改善に繋がる可能性もある。
さらに、コーヒー業界はサプライチェーン全体がグローバル化しており、原材料産地における労働環境や環境保護の観点も無視できない。
低賃金労働や気候変動の影響を受ける農家の存在を踏まえると、消費者としての意識も変化が求められている。
結局のところ、スタバの報酬格差と組合活動は、「誰が価値を生み、誰が報われているのか」という問いを突きつけている。
日本においても、企業のあり方や働き方の公正さが問われる時代に入りつつあり、こうした海外の事例は無関心ではいられない。
今後、企業・労働者・消費者がともに持続可能な社会の実現に向けてどう向き合っていくかが問われている。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ969号より)
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