環境パフォーマンスとは、組織が設定した環境目標を達成する能力やその成果を示す指標です。
テレビ・ラジオ放送事業者は、スタジオや放送機器の運用、オフィス業務、そして送信設備などを通じてエネルギー消費や資源使用において環境に影響を与える可能性があります。
一方で、放送を通じた情報発信により、視聴者やリスナーに環境意識を広めることができるという特有の役割も持っています。
以下では、テレビ・ラジオ放送事業者の「具体例」と「その取組み方」を説明します。
《具体例と取組み方》
1)エネルギー消費の削減
放送局では、放送設備、スタジオ照明、空調、サーバー運用などに大量のエネルギーを使用します。この削減は環境パフォーマンス向上の重要な課題です。
・具体例:省エネルギー型設備の導入
スタジオ照明をLEDに切り替えたり、高効率な空調設備を導入することで、エネルギー消費を削減します。
また、使用していない機器の自動オフ設定を行うことで無駄なエネルギー使用を防ぎます。
・取組み方:エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入
放送局全体のエネルギー消費をリアルタイムで監視するシステムを採用し、エネルギー使用の最適化を図ります。
さらに、再生可能エネルギー(太陽光や風力)を導入し、放送設備の運用に活用します。
2)廃棄物の削減と適切な処理
放送局では、電子機器の廃棄や日常業務での廃棄物が発生します。
・具体例:電子機器廃棄物の適正処理
使用済みの放送機器やコンピュータ、モニターなどの電子廃棄物を適切にリサイクル業者に委託して処理します。
また、再利用可能な部品の取り出しを行う仕組みを構築します。
・取組み方:ペーパーレス化の推進
放送台本や業務資料を電子化し、印刷物の削減を進めます。
また、従業員にデジタルデバイスを提供し、会議資料やコミュニケーションをペーパーレス化します。
3)放送内容を通じた環境啓発
テレビやラジオは、視聴者やリスナーに情報を届ける重要なメディアであり、環境意識を広める役割を果たせます。
・具体例:環境特集番組の制作
地域の環境問題や気候変動、生物多様性保護をテーマとした番組を制作し、視聴者に具体的な行動を促します。
・取組み方:継続的なキャンペーンの実施
「エコライフ」や「プラスチック削減」などのテーマで、視聴者参加型のキャンペーンを展開します。
また、環境に配慮した行動を視聴者に提案するCMや短編動画を放送します。
4)CO2排出量の削減
放送機器や送信設備の運用に伴うCO2排出を削減するための取り組みが求められます。
・具体例:送信設備の効率化
最新の送信機器に更新し、エネルギー効率の向上とCO2排出量の削減を図ります。
また、夜間や放送時間外のエネルギー消費を抑える管理体制を整えます。
・取組み方:カーボンオフセットの活用
CO2排出量を算出し、森林再生プロジェクトや再生可能エネルギー事業に投資することで、放送局全体のカーボンフットプリントを中和します。
5)水資源の効率的利用
放送局内の給水設備やトイレ、カフェテリアでの水使用量を効率化することも環境パフォーマンス向上に寄与します。
・具体例:節水型設備の導入
トイレや蛇口を節水型に変更し、水使用量を削減します。
・取組み方:雨水の活用
建物内に雨水の収集システムを設置し、植栽の散水や清掃に活用する取り組みを進めます。
6)環境教育と社員啓発
従業員一人ひとりが環境意識を持つことで、組織全体の環境パフォーマンスが向上します。
・具体例:社内での環境研修の実施
社員向けに環境保全やエネルギー効率に関する研修を定期的に実施します。
・取組み方:エコオフィスの推進
社員の通勤に公共交通機関の利用を奨励するほか、社内でのエコアクション(消灯、廃棄物の分別など)を推進します。
《取り組みのポイント》
これらの取り組みを効果的に進めるためには、ISO 14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)の導入が有効です。
EMSを活用し、放送局全体で環境目標を設定し、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを通じて環境負荷を継続的に削減します。
さらに、放送局はメディアとしての影響力を活用し、視聴者やリスナーと連携して地域社会全体での環境意識向上を図ることができます。
これにより、環境パフォーマンスの向上は単なるコスト削減や規制対応にとどまらず、社会的責任を果たしつつ、視聴者からの信頼を高める要素となります。
環境に配慮した放送事業を推進することで、放送局の持続可能な発展と地域社会への貢献を実現することが可能です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ943号より)
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